埼玉新聞

 

スーパー・カスミ「移動スーパー」運行開始、協定結ぶ埼玉・桶川で 三芳、北本、白岡、熊谷に次いで5番目

  • 桶川のオケちゃんとカスミのキャラクター「ふくふくファミリー」がプリントされた軽トラックの移動スーパーで買い物をする住民たち=市内の集会所

 桶川市は、スーパーを展開するカスミ(本社・茨城県つくば市)による「移動スーパー」の運行を開始した。市と同社は昨年11月に包括連携協定を結んでおり、移動スーパー事業はその一環。買い物に不便を感じる高齢者らは「ありがたい」「便利」と喜んでいる。

 同社が県内で移動スーパーを運行するのは三芳町、北本市、白岡市、熊谷市に次いで5番目。現在茨城、栃木、千葉を含め39台が稼働している。

 桶川の移動スーパーの拠点店舗はフレスポ桶川坂田店。冷蔵機能を備えた軽トラックに同店の肉、魚、野菜などの生鮮食品やパン、総菜、調味料といった購買頻度の高い約650品目を積載している。販売価格も店内と同じ。

 対象はスーパー、コンビニ、ドラッグストアなどの小売店から半径300~500メートル離れている「買い物空白地域」。月~金曜の5日間(祝日も運行)で、集会所や福祉施設など全32カ所を週1~2回程度で巡回する。

 市役所でセレモニーを行った後、移動スーパーは出発。午前5カ所、積み荷を追加してさらに4カ所を回った。午後2時半ごろに到着した川田谷の原集会所では20人以上の地域住民が待っていた。「家の近くまで来てくれて便利。チラシを見てから、心待ちにしていた」と話すのは関谷とりさん(90)。「自分で手に取って選べるのはうれしい」と孫へのお菓子などを買い物カートに入れていた。天沼兼子さん(92)は「なかなか買いに行けないから助かる。ありがたい」とリンゴやトマトなどを購入していた。

 橋本康信店長(46)は「喜んでもらえて、楽しそうに買い物して姿が見られて良かった。卵など全部売り切れてしまった。予想をはるかに超えた」とうれしい悲鳴。

 市の2019年4月の高齢化率は29%を超えた。市高齢介護課によると、移動スーパーは買い物支援だけではなく、「歩いて停車場所まで行く」「商品を目で見て選ぶ」ことで要介護予防につながり、販売スタッフや地域住民からの見守り体制の強化、立ち話や顔見知りになることでの地域コミュニティーの構築などの効果も期待できる。梅津克広課長は「地域の皆さんが集会所などを提供してくれることで、買い物空白地域という市の課題に取り組めた」と話している。

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