埼玉新聞

 

炎上する車から脱出できない男性「助けて」 やけどしながら警官2人が男性引っ張る「今度こそ死なないで」

  • 表彰状を受け取った浜崎正浩警部(左)と荒木信博警部補(右)=26日午後1時15分ごろ、県警本部

 車両火災現場で車内に取り残された運転手を救助したとして、県公安委員会は26日、越谷署地域課課長代理の浜崎正浩警部(39)と同署交通課交通指導係の荒木信博警部補(50)に表彰状を贈呈した。

 公安委員会によると、昨年9月11日午前6時ごろ、越谷市増森地内の道路で40代男性が運転する普通乗用車が大型トラックと衝突。普通乗用車のボンネット付近が炎上し、男性は足が挟まれるなどして車内に取り残された。男性は自力で脱出することができなかったことから、駆け付けた浜崎警部と荒木警部補が先頭に立ち運転席側の窓ガラスから男性を引っ張り救出した。

 男性は病院に搬送され入院したが、現在は退院し通院中。浜崎警部や荒木警部補も顔や腕にやけどを負い、現在も治療中だという。

 2人はそれぞれ過去に、車両火災で車内に取り残された人が命を落とす事案に対応したことがあったという。荒木警部補は「今回だけは亡くなってほしくないと思った」。浜崎警部も一瞬ひるんだというが、「『助けてくれ』と聞いて覚悟を決めた」と振り返る。

 表彰状を受け取って浜崎警部は「他の勤務員などと連携して男性を無事救助することができ、うれしく思う」。荒木警部補は「今後も警察官として県民の期待と信頼に応えられるよう努める」と語った。

 県公安委員会の加村啓二委員長は「尊い命が守れたのは、迅速かつ的確な判断を行い、炎上する車両に救助に向かった勇気ある行動のたまもの」とたたえた。

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