埼玉新聞

 

<新型コロナ>納得できない…悲痛の飲食店、消えた7割の客いつ戻る 検査パッケージ継続は「大変心強い」

  • まん延防止、県民また我慢の日々

 県内で新型コロナウイルス対応のまん延防止等重点措置が21日、開始される。収束に向かいつつあった感染はオミクロン株の影響で年明けから急拡大。再び我慢の日々に戻ることになった。時短営業を強いられる飲食店関係者らからは「納得できない」「大きな痛手」と悲痛な声が上がる一方、感染状況を考慮して「仕方ない」「しっかり対策を」など理解を示す意見も聞かれた。

 越谷市蒲生茜町で食堂を営む佐藤茂一さん(47)は「(感染者増加は)酒のせいではないのに、酒が悪者扱いされて納得できない」といらだちを隠さない。コロナ禍で売り上げは6~7割減。「感染者が減っていた中で再びまん延防止措置。従業員の給料もあるし、先が全く見えず不安で仕方ない。しかし我慢するしかないのが現実」。妻は「密を避けても感染する例が数多くある。政治のリーダーには根拠のあるルールや政策を行ってほしい」と要望した。

 「大きな痛手。新年会などの団体予約がほぼキャンセルになった」。羽生市上手子林の日本料理花むら社長の増田憲司さん(64)は嘆息する。「コロナ前に比べると、お客さんは6~7割減。少人数会席にしたり、お弁当のテークアウトなどでしのいできたが、やはり厳しい。いつまで我慢を強いられるのだろうか」

 新三郷駅近くの居酒屋経営者は「まん防適用に関するニュースが流れてから、客の入りが半分以下になった。酒類を提供してもしなくても売り上げ的には大きく変わらない状況」と肩を落とす。コロナ禍で売り上げが前年より半減し、従業員も雇えない状況が続き、「現行の協力金だけでは経営的に厳しい」と訴えた。

 観光スポットの長瀞町長瀞で、民宿とそば屋を営む「勉強屋」の店主堀口優さん(40)は「これだけ感染者が出てしまったら、客足の完全回復はしばらく見込めない」と落胆する。

 さいたま市の女性(81)は「感染状況が少し落ち着いたと思ったらまたかという感じ。外出も旅行もなかなかできない」と困惑。子どもを保育園に通わせている同市の会社員女性(42)は「園で感染者が出たら夫に在宅勤務に切り替えてもらうか、自分が仕事を休まなければならない」と不安を口にした。

 川島町の浅野良雄さん(80)は「今回は減少してもしっかりと厳しい対策を続け、感染拡大を繰り返すことがないようにしてほしい」と注文し、「オミクロン株は重症化のリスクが低くなっているようだが、やっぱり心配だ」と表情を曇らせた。

 所沢市のパート女性(55)は「まん延防止措置でも県外への移動や外食を控えるなど感染防止対策をすることは変わらない」と淡々。年末年始の感染者が減少していたことで「社会全体の気が緩んでいたのでは」と話し、さらに強い措置への移行を懸念した。

 県商工会議所連合会の池田一義会長は「現下の感染状況を踏まえれば、適用はやむを得ない」との立場。県が経済活動との両立を図るため、ワクチン・検査パッケージの継続活用を判断した点については「県内事業者にとって大変心強い」と受け止め、「県経済をこれ以上疲弊させないため、感染拡大防止に一人一人が取り組んでいくことが求められる」と強調した。

 県商工会連合会の三村喜宏会長も「まん延防止等重点措置の適用は適切」と理解を示し、「経済団体や事業者らは、国や県の方針を踏まえた迅速かつ適切な対応が求められる。県からの要請の順守、実行を徹底し、事業者への伴走型支援を着実に進めていく」とした。

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