埼玉新聞

 

【独自】青天を衝け・徳川慶喜役の草彅剛さん、主演の吉沢亮さんに感謝「刺激受け、僕ももう一度頑張るよ!」

  • 埼玉県深谷市のイメージキャラクター「ふっかちゃん」と記念撮影をした、大河ドラマ「青天を衝け」徳川慶喜役の草彅剛さん(相澤利一撮影)

  • 慶喜が父斉昭から受け継いだ「快なり!」の言葉は今作品を象徴するシーン=第14回「栄一と運命の主君」より(NHK提供)

  • 側近として力を発揮した平岡円四郎の遺体を目の当たりにする慶喜=第16回「恩人暗殺」より(NHK提供)

  • 将軍を辞した後は武芸や芸術を好み、妻の美賀子と穏やかに暮らした=第33回「論語と算盤」より(NHK提供)

  • 慶喜の晩年まで栄一との関係は生涯にわたって続いた=第40回「栄一、海を越えて」より(NHK提供)

 深谷市出身の実業家・渋沢栄一が主人公の大河ドラマ「青天を衝け」が26日、最終回を迎える。徳川慶喜役の草彅剛さんは、04年の「新選組!」榎本武揚役以来、久々の大河ドラマ出演。草彅「慶喜」は歴代最高の呼び声も高く、その佇まいや表情、言葉の数々に多くの視聴者が魅了された。「人生のターニングポイントになった」と語る今作品への思いや、共演した吉沢亮さんとの思い出などを聞いた。(森本勝利)

―徳川慶喜役を演じてきた率直な感想を教えてください。

 これまでの役者人生の中でも1年以上同じ役を演じ続けたことはなく、「青天を衝け」という作品が人生のターニングポイントになったという感覚があります。慶喜のミステリアスな余韻なのか、クランクアップして2、3日間はやはり寂しいなと感じた一方で、集中を切らさずお芝居ができたことは、自分の中で大きな自信になりました。

 大河ドラマは本当に大掛かりな撮影で大変な部分もありましたけど、そこが大河ならではの醍醐味であり、楽しさだと感じました。多くの出演者の方々やスタッフの皆様から元気をもらい、まだまだ頑張らないといけないなと純粋に思うことができました。

―徳川慶喜役を演じた中で印象的な場面や言葉などを教えてください。

 今作品では、渋沢栄一と徳川慶喜の関係性が描かれています。特に栄一との最後の場面は感慨深く、撮影を終えて静かにこみ上げてくるものがありました。役柄を通り越して(吉沢)亮くんを見ているというか、僕は慶喜、亮くんは栄一を「これまで楽しんできたね」と、同志としてお芝居ができた気がします。

 慶喜は人生の核心的なことを言うことが多くて、輝きが過ぎたり、人を巻き込んでしまうこともあり、人生を説いているようです。戦争を語る場面でも、これまでの世の中や時代をどこか代弁していたと思います。その中でも父斉昭から受け継いだ「快なり!」という言葉は、心に残っています。台本には一度しか書かれていないのですが、演じた竹中直人さんが何度もせりふを繰り返され、この作品でも特に印象的な言葉になりました。

―徳川慶喜にとって、渋沢栄一はどのような存在だったと思いますか。

 年齢も2つしか変わらない同世代。違う環境で育ってきた2人が相対することで、慶喜にとっては傍にいてほしい、傍になくてはならない運命共同体のような人物だったと思います。出会った瞬間に栄一から何か感じるものがあって、慶喜の人生を全うする上で、なくてはならない存在になっていきました。

 その中で栄一が明治新政府に仕えるかどうか相談する場面で、慶喜は出仕することを勧めました。信頼関係がなければ言わないだろうし、栄一に何かを託した気もします。

 慶喜が将軍職を退いてからは、何度も会いに来てくれる栄一との友情、そして慶喜から漂う男の哀愁が独特の雰囲気を作り上げていました。栄一との日々は本当に輝かしいものだったと、改めてしみじみと感じています。

―渋沢栄一役の吉沢亮さんとの共演はどのように感じていましたか。

 今回の大河ドラマや渋沢栄一役にかける並々ならぬ決意や思いが、(吉沢)亮くんから真っ直ぐに伝わってきました。物凄いせりふ量を忙しい中でどうやって覚えているのかなと思うし、そして本番での瞬発力を目の当たりにすると、本当に刺激を受けました。お芝居ってもっと可能性があるなと感じて、僕ももう一度頑張るよ!と身が引き締まりました。

 無事に最終回を迎えることができて、最後まで渋沢栄一として駆け抜けた亮くんにとっては、この経験は大きな財産になるはず。僕が慶喜役を演じ切ることができたのは栄一、亮くんが最後まで一緒にいてくれたおかげだと感謝の気持ちでいっぱいです。

―最後に、新聞読者・埼玉県民にメッセージをお願いします。

 コロナ禍という不安定な社会情勢の中、まずは無事に最終回を迎えることができて、ほっとしています。最後まで「青天を衝け」を、そして徳川慶喜をご贔屓(ひいき)にしていただき、視聴者の皆様からの応援が本当に力になりました。

 僕は高校まで春日部で育ちましたので、埼玉県はとても近しい存在です。渋沢栄一は深谷・血洗島での生活がなければ、様々な舞台で本領を発揮することはなかったと思います。まさに深谷は渋沢栄一にとって原点です。

 ぜひ最後まで「青天を衝け」を楽しんでもらいたいです。皆様のさらなる幸せと健康を祈って…快なり!

―ありがとうございました。

■草彅剛(くさなぎ・つよし)

 1974年生まれ。埼玉県出身。1991年、アイドルグループ「SMAP」のメンバーとしてCDデビュー。SMAP解散後は公式ファンサイト「新しい地図」を立ち上げる。2021年3月、映画「ミッドナイトスワン」で演じたトランスジェンダーの役が評価され、「第44回日本アカデミー賞」で自身初となる最優秀主演男優賞を受賞。同作は最優秀作品賞も受賞した。

(2021年12月26日付 埼玉新聞「大河ドラマ『青天を衝け』最終回特集」より)

=埼玉新聞WEB版=

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