埼玉新聞

 

群を抜いて多いランクル、レクサス盗難続々 リレーアタックに代わり、10分で盗むCANインベーダーとは

  • 県内で盗難被害の多いレクサス(画像の一部を加工しています)

  • 盗難被害を防ぐハンドルロック

 県内でランドクルーザーやレクサスなど高級車の盗難被害が相次いでいる。これまで主流だった「リレーアタック」と呼ばれる手口に代わり、10分ほどの短時間で犯行を終える「CANインベーダー」による被害も。県警や自動車販売店は防犯グッズや防犯カメラなどで対策し、愛車を守るよう呼び掛けている。

 県警によると、県内では10月12日時点で、ランドクルーザー69台、レクサス48台の盗難被害を確認しており、自動車盗の中でも群を抜いて多い。また、1~8月の自動車盗の発生は全体で277件に上り、うち226件は施錠していた車が狙われた。

 鴻巣市では9月23日、市内2カ所でランドクルーザーが盗まれた。いずれも施錠されており、1カ所は、車に盗難防止装置も付けていた。両事件とも、所有者が朝、駐車場を確認した際、盗まれていることに気付いた。高級車の盗難被害は特に県東部に多いという。

 捜査3課によると、自動車盗の手口はこれまで、特殊な機械を使って鍵や車から出ている微弱な電波を利用し、解錠する「リレーアタック」が主流だった。しかし、被害が増えるにつれ、電波を通さないケースに鍵を入れるなどの対策も浸透してきた。

 新たな手口の「CANインベーダー」は、車の前方にある端子に特殊な機械から延びるコードをつなげて侵入し、強制的にエンジンをかける。端子に接続する際は、タイヤ上部のカバーやバンパーの一部を外して行うが、作業自体は1人で可能とされ、犯行は10分もかからず、大きな音も出ない。

 捜査3課は「5年ほど前はリレーアタックが主流だったが、約3年前からCANインベーダーでの犯行と思われる事案が出てきた」と話す。現場にバンパーの一部や残骸が落ちているなど、CANインベーダーの形跡が残っていることもあるという。

 県警生活安全総務課は、チラシの配布や高速道路のサービスエリアなどにある電光掲示板を使って注意を呼び掛けるなど啓発活動を定期的に実施。ハンドルロックやタイヤロックなど物理的な防犯対策を呼び掛けている。

 自動車販売などを行う埼玉トヨタでは、車の購入者に「見える盗難防止」として、ハンドルロックなどの商品を販売。店舗によっては防犯グッズが人気で品薄のところもあると話す。

 生活安全総務課は「ハンドルロックやタイヤロックの活用、センサーライトや防犯カメラのある駐車場を選んだり設置するなど複数の対策が必要。鍵を掛けることはもちろん、これらの対策をしっかりやって愛車を守ってほしい」としている。

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