2019年11月10日(日)

サツマイモまんが資料館、生産地・川越に12月オープン 川越いも文化を後世に、イラストや漫画で紹介

サツマイモまんが資料館の開設準備が進む趣深い蔵で、展示パネルを手にする山田さん(右)と小泉さん=川越市元町1丁目

 サツマイモがおいしい季節。特産「川越いも」の生産地である川越市に12月1日、サツマイモの魅力を発信する「サツマイモまんが資料館」がオープンする。イラストや漫画を活用し、歴史や文化を分かりやすく紹介する展示内容が特長。お芋の知識を深めて、川越いもを口にすれば、ホクホクした味わいも増すはずだ。

■本場もの

 川越地方のサツマイモが知られるようになるのは江戸時代・寛政(1789〜1801年)の頃。江戸の町に焼き芋屋が現れ、庶民の間食として受けた。とりわけ良質だった川越産は「本場もの」として名をはせた。新河岸川の舟運で大量に送られた。

 川越いもは関東ローム層が堆積する川越、三芳などの台地で主に生産された。鉄道網が形成された明治期になると、東北、北信越地方にも出荷された。現在、川越地方で50軒ほどの農家が生産し、埼玉県のサツマイモ収穫量(2017年産)は約5670トンで全国第10位。

 サツマイモ復権・普及のための文化活動を目的に1984年、市民グループ「川越いも友の会」が発足した。県立松山高校元教諭で日本いも類研究会の前会長井上浩さん(88)、東京国際大名誉教授ベーリ・ドゥエルさん(70)=川越いも友の会会長=ら約40人が賛同した。94年には同会の商業者が「川越サツマイモ商品振興会」を立ち上げた。

 江戸時代からのブランド力、生産に適した土壌、そして草の根の普及活動に支えられ、川越地方で取れるサツマイモが「川越いも」として名声を維持してきた。

■情報発信

 「川越はサツマイモ産地でありながら、サツマイモのPR、情報発信をし切れていない」。ドゥエルさんと共に資料館の館長に就く元川越市職員で、いも文化研究家の山田英次さん(67)は歯がゆそうに指摘する。

 山田さんは、サツマイモ料理店「いも膳」(川越市)が89年に敷地内に開設したサツマイモ資料館の初代館長を務めていた。同施設はサツマイモ文化の情報発信拠点の役割を担っていたが2008年に閉館してしまう。「資料館の閉館により情報発信力が弱まった。新たな拠点づくりが必要だった」と山田さん。

 新しい資料館は、市指定有形文化財に指定されている岡家住宅の蔵2階に開設する。蔵を所有し、和菓子店「紋蔵庵」(川越市)を展開する小泉昌弘社長(56)の厚意で提供された。運営は川越サツマイモ商品振興会が当たり、開設資金の主体は賛同者の協賛金で賄う。市の補助金も活用する。

 イラストや漫画を中心としたパネル展示でサツマイモを解説する。川越いもの伝来ルート、伝統品種「紅赤」の歴史、サツマイモの栄養・機能、干し芋・大学芋の歴史文化など多岐に紹介する。サツマイモ資料館の閉館後、川越市立博物館に寄贈されていた一部資料も展示する。サツマイモに関する講義が聴ける「川越いも学校」も併設する。

 山田さんは「全国のサツマイモ情報拠点と連携しながら、川越いも文化を後世に語り継いでいくための資料館にしたい」と話している。

【メモ】サツマイモまんが資料館(川越市元町1の15の5)がオープンする12月1日は「紅赤いもを守る日」。川越いもを象徴する伝統品種「紅赤」を生産・消費し、守ろうと昨年8月、川越サツマイモ商品振興会や三芳町川越いも振興会などが宣言した。同資料館の入館はホームページなどによる完全予約制を考えている。見学無料。問い合わせは山田さん(電話080・1342・2177)へ。

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