2021年10月17日(日)

国内最大級、埼玉・熊谷の平戸の大仏から墨書 保存修理で頭部から発見、推定にとどまる建立年と仏師が判明

薬師如来頭部の状況(吉備文化財修復所提供)
薬師如来頭部で発見された墨書(吉備文化財修復所提供)

 熊谷市平戸にある市指定文化財の仏像「平戸の大仏(木彫大仏坐像)」を収蔵する源宗寺の本堂を修理している同寺本堂保存修理委員会は15日、平戸の大仏の一体である薬師如来坐像の頭部内部から、仏像の建立に関する墨書を発見したと発表した。同委員会によると、寛文3(1663)年に江戸を拠点に活動していた仏師の松田庄兵衛正重などによって制作されたことが判明したという。

 源宗寺本堂は老朽化が進み、檀家組織や地域住民らで組織する保存修理委が主体となり、12月の完成を目指して改修が行われている。仏像は木製の寄せ木造りで、薬師如来の高さは3・48メートル、観世音菩薩の高さは3・93メートル。木製の寄せ木造りの仏像としては国内最大級とされる。本堂改修の際の調査で修復する必要があることが判明していた。

 保存修理委はさいたま市の吉備文化財修復所に委託して調査したところ、13日午後に薬師如来の頭部内部から建立年と仏師が分かる墨書が発見された。これまで建立時期と仏師名は、寺の関連文書の記載に基づく推定にとどまっていた。観世音菩薩の頭部からは墨書を確認することはできなかった。

 仏像の保存修理は来年8月ごろまで続く。仏師の松田庄兵衛正重については不明点が多く、調査研究を今後行う予定。事業監修者で市立江南文化財センター学芸員の山下祐樹さん(38)は「今回の発見によって周辺地域の仏像制作の影響関係や時代背景に関する研究を進めることが可能になったと考えられる」と話していた。

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