埼玉新聞

 

<埼玉西武だより>66試合目で刻まれた「1勝」 田村伊知郎、プロ初勝利 努力をやめない姿、多くの人に

  • 辻発彦監督(右)と喜びをかみしめる田村伊知郎(球団提供)

 一段と自信をもって臨んだように見えた26日のロッテ戦。その2日前にプロ入り初勝利を挙げた田村伊知郎は、6番手として4点ビハインドの八回から登板した。力のある140キロ台後半の直球を軸にストライク先行の小気味よい投球リズムで加藤匠馬を二ゴロに打ち取ると、続く荻野貴司も高めの直球で押し右飛、佐藤都志也も147キロの直球で右飛に打ち取った。「いつも通り平常心でいくことができました」と振り返った田村は九回も続けてマウンドに上がり、怖いレアードを三球三振に打ち取るなど2回パーフェクトピッチング。田村にとって大きな3連戦だった。

 経験と苦労がここで大きくものをいった。昨年は自己最多の31試合に登板した田村だが、ビハインドでの回またぎでの登板も複数経験し、九回の続投も「いつも通り投げようという気持ちでいけました」と冷静だった。初勝利を挙げた24日は被弾1、与四球1だったが、この日は「ホームランと四球は気を付けようと思っていきました」と振り返ったように、ランナーを許さない見事な投球を披露した。

 結果が出た田村を祝福する周囲の反応が温かいのは、ここまでいつどんな時でも努力をやめない姿が多くの人の脳裏に焼き付いているから。初勝利を挙げた直後、豊田清投手コーチはベンチ前で田村の肩を抱き寄せ、ブルペンキャッチャーの田原晃司、藤沢亨明はそろって2軍時代のひた向きな田村の姿を思い起こした。

 1軍登板66試合目でようやく田村のキャリアに刻まれた「1勝」だったが、その直後の登板で結果を出したことに大きな価値がある。チームのためにひた向きに腕を振っていく男は、これからも成長曲線を描いていく。

 (埼玉西武ライオンズ広報部)

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