埼玉新聞

 

<新型コロナ>マスクせず密BBQ酒、爆音ごみ放置、注意無視…苦情で河原閉鎖 次に人々が向かった先は

  • 巾着田で水遊びなどを楽しむ利用者ら=11日午前、日高市高麗本郷

  • 飯能河原に立てかけてある閉鎖を示す看板=10日午後、飯能市久下

 緊急事態宣言下で迎えた夏休みの観光地が揺れている。飯能市久下の飯能河原は、マスクをせず飲酒するなど利用者の間で感染リスクの高い行動が相次いだことから、7日から閉鎖中。無人の河原に看板がむなしく立つ。一方、飯能市から近い日高市高麗本郷の巾着田は水遊びなどを楽しむ人でにぎわい、飯能河原が閉鎖されたため訪れる人もいるという。

 入間川沿いに広がる飯能河原では、バーベキューや水遊び、キャンプなど夏のレジャーを楽しむことができる。7月下旬の4連休もにぎわいを見せたものの、マスクをせず飲酒する利用者が目立った。以前から感染リスクの高い行動は確認されていたが、今回は特に顕著だったという。

 「ビラを配ったり声掛けをして、飲酒の禁止やマスクをするようにお願いしたが、ほとんど守られなかった」。飯能市観光・エコツーリズム推進課観光推進担当主幹山岸絵里子さん(46)は説明する。ごみを置いて帰ったり、音楽を爆音で流すなどマナーの悪さも含め、周辺の住民からの苦情も市に寄せられていた。

 近くに住む男性は「密にもなっていたし、マスクをしていない人がほとんどだった」、同じく近所の女性も「河原だけでなく、上がってきた道にごみが捨てられていることもある」と状況を語る。

 市は、感染リスクの高い行動が相次いだことに加え、2日に緊急事態宣言が発令されたことから、飯能河原の閉鎖に踏み切った。山岸さんは「観光地なので閉めるのは苦渋の決断。地域の人の健康を守るためにも、ご理解いただきたい」と話す。

 飯能河原から車で15分ほどの距離にある日高市の巾着田には連日、多くの人が涼を求めて訪れている。日高市産業振興課によると、宣言中は飲酒やバーベキュー、宿泊を伴うキャンプなどを禁止にしているが、河原での水遊びなどは可能。平日の昼間にも家族連れなど多くの人が訪れ、駐車場は満車の状態だ。

 「飯能河原が閉まって、川遊びだけでもいいから巾着田に来た、という人もいる」と、近くの駐車場を管理している男性は語る。

 千葉県松戸市から孫と遊びに来ていたパート従業員の70代女性は「極力人と接触せずに気を付けて遊ぼうと思う」。県内に住む会社員の40代女性は「毎年夏になると、毎週のように来ていたが、今年は今回が初めて。早めに来て人が増えてきたら帰ろうと思っている」と語り、感染予防に努めながら楽しんでいた。

 日高市では宣言中、見回りや音声放送、看板の掲示などで飲酒の禁止やマスクの着用などルールの徹底を促しているが、今後、感染状況なども見極めてより強い処置を取る可能性もあるという。

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