埼玉新聞

 

3歳の孫、白血病で死去…仕事辞めた女性、孫のために骨髄ドナー説明員始めた 登録減の今「ぜひ登録を」

  • 登録会で骨髄バンクの説明と登録を呼び掛ける谷川常子さん(右)=19日午前、さいたま市役所

 埼玉骨髄バンク推進連絡会(笠原慶一会長)は19日、さいたま市役所で、骨髄バンクの骨髄提供者(ドナー)登録会を開いた。新型コロナウイルスの影響を受けて登録会の開催自体が減り、埼玉県内の骨髄バンクへのドナー登録は4割減少しているという。この日はいずれも40代の男女3人がドナー登録した。同会は「骨髄移植によって救える命がある。無理のない範囲で登録していただけたら、ありがたい」と呼び掛けている。

 同会運営委員・登録説明員の谷川常子さん(64)=さいたま市=は2017年2月、孫の瑞騎君=当時(3)=を急性骨髄性白血病で亡くした。仕事を辞めて翌年からボランティアの説明員として、月に8~10回、市役所や献血ルームで開かれる登録会に出向き、骨髄バンクの説明を行っている。

 「最初は亡くなった孫のために何かできないかと思って始めたが、今は自分の生きる活力に代わってきている。孫から力をもらった。登録をしていただくと、何ともいえず、ありがたく思う」と語る。

 国内では年間、約1万人が白血病など血液の病気を発症し、骨髄の移植を必要とする患者は2千人を超えるという。できるだけ多くの人の骨髄バンク登録が必要とされているが、県内の登録数は、19年度が2006人、20年度が1208人となっており、798人も減少している。

 コロナの影響で、商業施設などでの登録会はほとんど開けず、骨髄移植を受けた元患者の説明員も活動ができない状態だという。交通費などは支給されるが、ボランティアのため公的な補助はなく、会員の会費などで活動を支えている。谷川さんは「登録会の開催がだいぶ減ってしまっている。できるだけ早く通常の生活に戻ってほしい」とコロナの収束を願う。

 「多くの人に病気のことを知ってほしい」。瑞騎君の姉で小学5年のほずみさん(10)は17年夏から、小児がんの支援活動「レモネードスタンド」を続けている。コロナの影響で長く中断していたが、同市緑区のイベント会場で今月18日、活動を再開した。

 谷川さんは「孫が自分でやってみたいと言ったというので、頼もしい以上の存在。少しずつでも賛同する声が広がり、一人でも多くの命が救われれば、孫の活動も報われる」と話していた。

ツイート シェア シェア