埼玉新聞

 

パレスホテル大宮の総料理長、さいたまの学校で「シェフ給食」10年提供 川口にも呼ばれ、小学生ら感激

  • 教室を回る毛塚智之シェフを子どもたちが笑顔で迎えた=19日、川口市立飯塚小学校

  • 毛塚さんたちが調理したシェフ給食

 埼玉県さいたま市大宮区桜木町のパレスホテル大宮で50人のシェフのトップに立つ総料理長・毛塚智之さん(52)が19日、川口市飯塚の市立飯塚小学校(江川雅敏校長、児童数634人)を訪れ、「シェフ給食を味わおう」というイベントで、同校調理担当者と一緒に給食を作った。

 毛塚さんはシェフが本格的な料理の給食を子どもたちのために作る「シェフ給食」をさいたま市の学校で10年間も取り組んでいる。それを知った同校の栄養教諭、志村歩美さんが「ぜひ、川口にも来てほしい」と要望し、実現した。「子どもたちは今日の給食を楽しみにしている。コロナ禍で休校があったり、遠足が中止になったりして子どもたちには苦労を掛けましたからね」と江川校長。

 毛塚さんはこの日、午前7時に同校へ行き待ち構えた志村さんらと調理を開始。約3時間後に出来上がったのが、白身魚のベニエ・トマトソース添え、春キャベツと豆乳のチャウダー、旬の栃木県産スカイベリーのゼリーの3品。

 「白身魚はビールを混ぜた衣をつけて、一枚ずつ揚げた。ビールの酵母が衣をふっくらとさせてくれます。牛乳アレルギーの子のために、春野菜のチャウダーは豆乳を使った」と毛塚さん。

 調理が終わり、全校の教室に給食が届いたころ、毛塚さんは、駆け足で教室を回った。頭には、総料理長であることを示す高さ54センチの白いコック帽を着けた。

 「チャウダーの春キャベツ。味が薄いと言わないで。この味が分かれば、大人になっても本物の味が分かる。調味料や添加物をいろいろ使うと、素材の味が分からなくなる。素材そのもの味を知り、味わうことが大事。野菜がこんなに甘いんだって、感じてほしい」と毛塚さんは児童らに語った。デザートはイチゴのゼリー。毛塚さんはこの日、知り合いの栃木県の生産者からもらい受けた最高級品のスカイベリーを900粒を自ら持参した。

 5年3組の福田かのんさんは「春野菜とスープがすごく合っていておいしかった」。皆川瑠那さんは「野菜は苦手だけど、今日のスープはおいしかった」などと感想を話していた。

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