埼玉新聞

 

「恐れず驕らず侮らず」今も胸に…日本バンタム級王者・堤聖也選手が加須の母校へ 「世界に照準」決意新た

  • 花咲徳栄高、平成国際大の選手たちの質問に真剣に答える堤聖也選手=1日午後、埼玉県加須市花崎の花咲徳栄高ボクシング道場

    花咲徳栄高、平成国際大の選手たちの質問に真剣に答える堤聖也選手=1日午後、埼玉県加須市花崎の花咲徳栄高ボクシング道場

  • 花咲徳栄高、平成国際大の選手たちの質問に真剣に答える堤聖也選手=1日午後、埼玉県加須市花崎の花咲徳栄高ボクシング道場

 ボクシングの第75代日本バンタム級王者・堤聖也選手(28)=角海老宝石=は4度目の防衛と新たな挑戦の報告を兼ね、母校である平成国際大と当時の練習場所である花咲徳栄高(ともに埼玉県加須市)を訪れた。「日本は世界に行くためのパスポート。卒業して世界に照準を向ける」と決意を新たにした。

 堤選手は昨年12月に行われたバンタム級モンスタートーナメント決勝で判定勝ちし、4度目の防衛に成功。同試合はプロボクシングの2023年度表彰で年間最高試合(世界戦以外)に選出され、自身も努力・敢闘賞を受賞した。

 高校、大学時代の部訓「恐れず驕(おご)らず侮らず」は今も胸に刻まれているという。防衛戦では「重圧に恐れず、ランクが上でもおごらず、下馬評が有利でも侮らず。初心に返る気持ちがずっとあった」と激闘を制した。

 花咲徳栄高訪問時には、同校と平成国際大の選手一人一人の質問に丁寧に回答。「目標を持って集中してやること。一個一個なぜやるのか考えながら練習するのが一番大事」と日々心掛けていることを熱弁した。

 幼いころから特撮ヒーローに憧れ、戦隊ごっこが大好きだったことをきっかけに中学2年で競技を始めた。運動が苦手で「強くなれないと思って」とボクシングを始めたことは同級生に知らせなかった。

 九州学院高(熊本)を経て平成国際大へ進学。大学ではボクシング漬けの日々を送り、関東大学2部リーグの4年間で全20試合を戦い全勝と好成績を残した。アマチュアでの優勝経験がないまま、18年にプロに転向する。

 プロでは新型コロナウイルスの影響などで20年10月から約1年8カ月間試合ができなかった。この間アルバイトを三つ掛け持ち、練習もままならなかった時期を持ち前の精神力で耐え抜き、22年に日本バンタム級王者の称号を手にした。

 「生活の全てを意識しないと勝利につながらない」。特に食事にこだわり、目的に応じて食べる米の種類を変えるなど独自の方法で他の選手に差をつける。飲食店などのアルバイトで料理の基礎を学び勉強したという。

 厳しい減量も楽しむのが流儀。勝つための減量を目指し「もっと格闘技界全体に(栄養の)知識が広がればいい」と積極的に交流サイト(SNS)に、減量中とは思えないほど手の込んだ食事を載せている。

 プロ通算12戦10勝2分け。1月に日本王座を返上した堤選手は次のステージを見据え、「世界のベルト、これは絶対欲しい。いつチャンスが来ても一発で取れるようにしたい」と世界王座奪取への道を突き進む。

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