埼玉新聞

 

埼玉一の生産量を誇る上尾のキウイ 農家が団結、40年間おいしさ追求 重要なポイントはリンゴの種類

  • 「おいしいと言って毎年来てくれるお客さんのために大事に育てたい」と話す秋山喜久治さん=上尾市平塚

 エメラルドグリーンのきれいな果肉に、爽やかな甘酸っぱさ、豊富なビタミンCが特徴の果物キウイフルーツ。年間を通して手に入るものの、国産キウイはこの時期、収穫後の追熟(ついじゅく)で甘さを増す。埼玉県内一の面積と生産量を誇る上尾市では、キウイ栽培農家が団結して研究会をつくり、40年にわたって技術向上を目指し切磋琢磨(せっさたくま)してきた。今では農家の庭先販売がリピーターで完売になるほど人気だ。

 上尾キウイフルーツ研究会は、1978年に発足。「上尾の特産品として何か果実はできないか」と当時の若手農業者たちが選んだのがキウイの栽培だった。まだ知名度も低く、国内では香川県や愛媛県など温暖な地域が先駆的に行っていたという。市内で約30人が栽培を開始し、専門家の知識や指導を受け、試行錯誤を続けてきた。

 現在会員は13戸。会長の秋山喜久治さん(64)は「父の代の人たちが失敗を繰り返しながらも続けたきたおかげで今がある。10年くらい前から直売が定着してきた。商品価値もあるし、栽培も面白い」と話す。

 キウイは固い状態で収穫し、追熟作業を行う。専用の機械を使い、電熱板の上にリンゴ、その上に収穫したキウイを置き、温度を20度に保つ。「この追熟で味が違ってくる」と秋山さん。リンゴ追熟にはリンゴの種類も重要で、秋山さんはオウリンやジョナゴールドなどを使用している。

 せん定、受粉も果樹にとって大切な作業。これらの良し悪しで収穫量に差が出てしまうため、研究会では定期的にせん定講習会や夏場の現地検討会などを開催。災害対策や害虫の情報なども共有している。「キウイの特性にあった手間をかけてあげればいい。キウイは自分のペースでできる作りやすい果物」と秋山さんは言う。自身も会社員をしながら、妻の治美さん(61)とともに農家を続けた。「組織を作ってやっているのが功を奏している。これからもみんなで頑張って、おいしいキウイフルーツを作りたい」と意欲を見せている。

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