埼玉新聞

 

涙いっぱいの闘病中に仲良くなった男児2人、同じ闘病の子にクリスマスプレゼント メッセージカード開くと

  • 視野異常のために入院した小沢オリバー君(左)とお見舞いに来た清水優希君=2019年6月(小沢さん提供)

  • プレゼントを医師らに渡す(右から)小沢オリバー君と清水優希君=11月28日、日高市の埼玉医科大学国際医療センター

 クリスマスを病院で迎える入院中の子どもたちに、小さなサンタクロースからの贈り物─。埼玉県さいたま市の小児がん経験者ら小学5年の男児2人が、埼玉医科大学国際医療センター(日高市)に、プレゼントを届けた。かつて同センターで入院中に仲良くなった2人は「少しでもクリスマスを楽しんでほしい」と、闘病中の子どもたちにエールを送る。

 プレゼントを届けたのは、神奈川県茅ケ崎市の小沢オリバー君(11)と、病気が再発して現在も闘病中のさいたま市見沼区の清水優希君(11)。小沢君が清水君を誘った。

 今年は同世代の子どもたちに人気の漫画「鬼滅の刃」の単行本と、付き添いの保護者が病院周辺で買い物をする際に使えるようエコバッグを贈った。「病院で迎えるクリスマスでも、漫画を読んで楽しんでほしい」

 「治療はつらいかもしれないけど、プレゼントをもらってね」。手作りのメッセージカードの表紙には、鏡のような素材を顔の部分にあしらったサンタの装飾が施されている。のぞき込んだ人の顔が映る仕組みで、「誰でもサンタになれるように」と願いを込めた。

 小児がん患者やその家族らでつくる団体「みんなのレモネードの会」による「みんレモサンタ」の一環。入院していた病院やお世話になった施設に自らプレゼントを届けようと2017年から始まり、今年は同センターの他に神奈川県や東京都など10以上の病院に届ける予定だ。

 小沢君と清水君も同センターで闘病生活を送った。学年も同じで院内学級にも2人で通った。「一緒に遊んでくれる友達」「そばにいてほしい時にいてくれた家族のような存在」と照れくさそうに顔を見合わせる。

 小沢君が病気を発症したのは17年。てんかん発作を起こしたことから都内の病院などを受診し、脳に腫瘍が見つかった。診断結果は良性だったものの、家族はセカンドオピニオンを選択し、同センターや北海道の脳外科医などにメールで相談。検査の結果、悪性の可能性があることが分かり、同年8月、北海道で手術を受けた。

 その頃、清水君と出会った。追加治療のため入院した同センターで、急性骨髄性白血病で入院していた清水君と同じ病室になり、大の仲良しに。清水君は退院して地元の小学校に復学したが、これまでに3度再発。ドナーによる臍帯血(さいたいけつ)移植や父親からの骨髄移植などを経て、現在も通院している。

 「1度目を経験しているからこそ、再発と聞いた時の絶望感も大きかった」と清水君の母恵里さん(47)。清水君も「部屋が涙でいっぱいになるかと思うくらい泣いた」というが、主治医から入院期間が1年程度と聞かされると、「じゃあ半年で退院してやる」と強い気持ちで病気に向き合ってきた。

 小沢君は同年11月に退院した。現在のところ再発しておらず、定期的に検査を受けて通学しているが、原因不明の視野異常や放射線治療の影響で起こる症状に悩まされ、心配は尽きない。

 母親の貴子さん(45)には「命を救う治療とはいえ、生きる幸せを削って生きているようだ」とやりきれない思いも。「同じように闘病する人のことを思うと、住んでいる地域に関係なく、同じ治療が受けられる体制を整えてほしい」と話した。

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