埼玉新聞

 

すごい行列「角川食堂」人気、ところざわサクラタウンで 角川会長から託された元敏腕編集者がプロデュース

  • トッピングも豊富でミネラルたっぷりな「古代もち麦」入りライスとの相性が抜群のカレー

  • 詩や小説内に書かれた食に関する一文が印刷されてるオリジナルコースターを手にほほ笑む津々見潤子さん=所沢市東所沢の「ところざわサクラタウン」角川食堂店内

 来月6日にグランドオープンを控えるKADOKAWA運営の大型複合施設「ところざわサクラタウン」で、8月に先行オープンした直営レストラン「角川食堂」が早くも人気を集めている。プロデュースしたのは同社の元敏腕編集者、津々見潤子さん(49)。当初は社員食堂として計画していたものの、地域貢献も兼ねて一般開放することになった。埼玉県内各地の生産者と信頼関係を築きながら、新鮮な地場食材を生かしたメニューを提供している。

■会長からも直々に依頼

 津々見さんは、ミステリー小説の大家、エラリー・クイーンの新訳シリーズなどを手掛けたことで知られる元編集者。食堂プロデュースの打診を受け新たな分野へ挑んだ。「もともと食べることが大好き。作家から最大限の力を引き出すために、舞台を整えてきた今までの仕事にも通じる」。同社の角川歴彦会長からも、不規則な生活になりがちな社員に「健康的でおいしいものを食わせてやってくれよ」と、直々に頼まれたと明かす。

■魅了された県産食材

 「所沢は江戸時代から続く志の高い農家さんが多いので、食に関する底力がすごい。特に朝採り野菜のおいしさは驚きだった」と、津々見さん。季節ごとの食材を生かすために、通常メニューをつくらず、手間は掛かるが日替わり料理を提供できる、定食システムを取り入れた。

 有機農法の米をはじめ卵や肉、調味料に至るまで食材のほとんどを県内産で賄っているが「『まず、県産ありき』では全くない」と、同食堂料理長の小島学さん(46)は力を込める。「交流会に足を運ぶなど生産者との関係性を築きながら一つ一つ吟味し、結果として誠実につくられた埼玉の食材に魅了された」と、2人はうなずき合う。

■社内にカレー部創設

 店内には同社の最新雑誌が並び、さまざまなキャラクターのフィギュアが洗練されたインテリア雑貨とともに棚を彩る。「本や映画、アニメなどと同様に、食は心を豊かにする大切なコンテンツの一つ」と話す津々見さん。カレーの味を決めるため、社内に声を掛けたところすぐに各部署から80人ほどが集まってくれたと振り返る。早速"角川カレー部"を創設、独自配合のスパイスが効いた、味にこだわる編集者もうならせる「角川食堂カレー」が完成した。

 さいたま市の池上まり子さん(66)は友人と2人で初めて訪れた。「平日もすごい行列の人気でびっくり。おいしいだけじゃなく盛り付けもおしゃれでうれしい。店内が、コロナの時代に合わせ、ゆったりくつろげるように工夫されている。次は家族と来たい」とランチタイムに満足の表情。

 広報担当の曲淵優子さん(48)は「『ところざわサクラタウン』はまず、地元埼玉の皆さんに愛されてほしいと願っていたが『角川食堂』はその先駆けになってくれた」と連日の盛況ぶりを喜ぶ。

 冬に向けて「いろいろな根菜を取り入れてみたい」と目を輝かせる津々見さん。元編集者ならではの感性を生かした、しなやかな挑戦は続く。

 問い合わせは、角川食堂(電話04・2003・7035)へ。

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