埼玉新聞

 

救急隊、28分遅れ到着 患者の女性は容体急変、搬送先で死亡 情報把握せず出動、通報者と接触できず

  • 救急隊28分遅れ 患者死亡

 川越地区消防局は7日、公衆電話からの119番で正確な情報を得ないまま救急隊が出動し、到着が28分遅れたと発表した。患者は搬送先の病院で死亡が確認された。到着の遅れとの因果関係は不明で、消防局は近く医師を交えた検証を行う。

 消防局によると、5日午後5時50分、川越市内の公民館に設置された公衆電話から男性が119番した。川越北消防署の救急隊は要請者の住所や氏名を把握せず、電話の発信位置情報を基に同6時に公民館に到着したが、通報者と接触できず引き上げた。再び公衆電話から通報が入り、6時28分に患者の女性(71)の自宅に到着した。

 女性はぐったりし、呼び掛けに応じられない状態で40・2度の発熱があった。救急車に収容した5分後、容体が急変して心肺停止状態になり、6時58分に市内の医療機関に着いたが、間もなく死亡が確認された。通報者は女性の家族で、公民館から約90メートル離れた女性方には電話などの通報手段がなかったという。

 消防局は「通報が早口で要請場所など聴取できなかった。通報場所は分かったので、早く部隊を出したかった」と釈明。通報内容の録音装置に要請者の住所や氏名などが記録されていたが確認していなかった。遺族に謝罪した際、「調査、検証してもらわないと納得できない」などと告げられたという。

 川越地区消防局の比留間富雄局長は「到着が遅れ、救急車に収容後、心肺停止となる事故を発生させてしまった。亡くなった方、ご家族におわび申し上げる」と陳謝した。

ツイート シェア シェア