埼玉新聞

 

めがね橋、県文化財に指定 県教委が新規5件、追加1件発表 枯死した「久伊豆神社の大サカキ」は指定解除

  • 頂部がアーチ構造の「めがね橋」(春日部市教育委員会提供)

 教育委員会は18日、県文化財保護審議会(根岸茂夫会長)から答申を受け、春日部市八丁目の「めがね橋付倉松落大口逆除之碑」を有形文化財(建造物)とするなど、県指定文化財に5件を新規指定し、1件を追加指定すると発表した。22日の県報告示で正式に指定となる。

 1件の指定解除があり、県指定文化財(選択無形民俗文化財含む)は721件になる。

 県教育局文化資源課によると、1891(明治24)年に完成しためがね橋は、大落古利根川から倉松落への逆流を防止するために建設された旧倉松落大口逆除で、頂部をアーチ構造とした開口部があるれんが造りの樋門。

 現在は橋として利用され、橋長12・5メートル、橋幅は9・2メートル。県内のれんが造りの樋門としては最古級で、規模も大きい。橋の周辺にある倉松落大口逆除之碑は1892(同25)年に建立された。

 このほか新たに指定される有形文化財の「旧日本煉瓦製造株式会社関係資料」(歴史資料)は、1887(同20)年に渋沢栄一らによって創設され、2007年に解散した同社に関係する資料群。

 現在は深谷市が所有し、県立文書館に1324点、同社の旧事務所に1568点が分蔵され、高度経済成長以前の1954(昭和29)年までの資料1459点が指定の対象となる。

 県所有の「小敷田遺跡方形周溝墓出土土器」(考古資料)は、熊谷市から行田市にかけて所在する同遺跡から検出され、埼玉県域における初期の方形周溝墓の文化を示す土器15点を指定。

 伊奈町の法光寺が所有する「絹本着色釈迦十六善神像」(絵画)と、加須市の玉敷神社が所有する「刺繍三十番神像」(工芸品)も指定される。

 秩父市内で生育するヒガンバナ科の多年草「久那のステゴビル」が記念物(天然記念物)に追加指定される。1997年に記念物(同)に指定されたさいたま市岩槻区の「久伊豆神社の大サカキ」は、枯死したことで文化財の価値を失ったとして、指定を解除する。

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