埼玉新聞

 

知事選の展望、最大の焦点は上田氏の進退 自民は人選固める、大野元裕氏を擁立する動きも

  • 過去4回の県知事選挙結果

 2019年は統一地方選と参院選が重なる12年に1度の年。さらに埼玉県政のトップリーダーを決める知事選が行われる。注目の知事選は8月に任期満了を迎える4期目の上田清司氏(70)の去就が最大の焦点。一方、上田氏と対立する県議会最大会派の自民党は独自候補の人選を固めた模様で、統一地方選前の3月までに公表する方針。参院議員の大野元裕氏(55)を擁立しようという動きもある。共産党も前回15年に続いて独自候補を立てる構えだ。

 「われ出陣に憂いなし」―。昨年11月下旬、さいたま市内であったテレビ埼玉の新春恒例特番「埼玉政財界人チャリティ歌謡祭」(1日午後7時から放映)で、上田氏が今回選んだ曲目は武田信玄の出陣を歌った「武田節」だった。 出陣に憂いなしとは、5選出馬への伏線か、自民へのけん制か―。さまざまな憶測が飛び交った。上田氏の去就は政財界の衆目を集める。自身の進退について上田氏は「今まで(出馬表明は)いつもぎりぎりにしていたが、私がいつまでも言わないと、落ち着かない人が増えるので、4月の終わりまでに表明したい」との意向を示す。

 民主党衆院議員だった上田氏は03年8月、「しがらみ一掃」を掲げて知事選に出馬し、初当選。公約に掲げた自身の任期を3期12年までとする多選自粛条例を04年に定めた。しかし、前回の知事選は各種団体などから要請を受ける形で、自粛条例に反して出馬。自民推薦の候補ら4人を破って4選を果たした。自民県議団は「条例破りだ」と反発し、選挙後も上田氏を追及する決議や動議を相次いで可決させるなど、対決姿勢を鮮明にしてきた。

 自民県連の新藤義孝会長は昨年9月の県連大会で「埼玉県政を正しい形にしたい。何としても勝ち抜く」として知事選で独自候補を擁立する考えを改めて強調した。

 自民は前回、独自候補の人選に後手を踏んだ。推薦した元官僚の出馬表明は告示1カ月を切った7月1日。自民関係者よると、今回は既にテレビに出演する識者ら複数の人材の中から独自候補を決める段階という。鈴木聖二県連幹事長は「4月の統一地方選前の3月までには決めたい。統一地方選と連携する形にしたい」と話す。

 知事選へ向け周囲の動きも加速している。県町村会が昨年末、前回と同様、全国知事会長を務める上田氏に5選出馬を要請。他団体も水面下で上田氏を推す動きを見せる。ただ4年前のこの時期、上田氏は「自粛条例より埼玉県が大事だと思えば、時と場合によっては声を出す」と4選出馬へ含みを持たせる発言をしていたが、今回そのような発言はしていない。

 自民の重鎮県議が引退を表明するなど、4年前と異なる政局の中、前回の知事選で上田氏の“後継者”と目された国民民主党の大野参院議員を立てる動きも大野氏の地元川口である。

 一方、共産党は前回推薦した柴田泰彦氏(65)を含め、候補者の選考を進める。県委員会は「上田知事が進退を表明する前に擁立を公表し、流れをつくりたい」と話す。

 そのほか、上田氏の去就を受けて、出馬を検討する元官僚男性もいる。

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