埼玉新聞

 

熊谷小4死亡ひき逃げ、時効迫る 「時間がない!!」犯人につながる情報求め…母親、ブログに切実な声

  • 情報提供を求めて始めたブログ。切実な思いが記されている

 熊谷市で2009年9月に市立石原小学校4年の小関孝徳君=当時(10)=が死亡した未解決のひき逃げ事件で、小関君の母親がブログを開設した。事件の公訴時効が9月に迫り、「このまま犯人が捕まらないのではないか」と不安が募る中、「事故についての情報提供を」と切実な声を記している。

 「息子の成長を記録にしながら、今!!何をしなければいけないのか!!もう一度考えて行動する!!時間がないのです!!」(原文ママ)

 ある日の母親のブログには、そう書き込まれている。さらに「このままでは終われない。終わることができない。お母さんは頑張る!!」という書き込みも。文面からは、「何かをしないといけない」という思いが伝わってくる。

 母親がブログを始めたのは、時効まで約8カ月と迫った1月末。「できることは何か考えたとき、それがブログだったんです」。母親はそう話す。ブログを書いたことはなかったが、時効までに犯人が逮捕されないのではないかという不安や、ブログを書くことでより多くの情報が集まり、それが犯人逮捕につながればという思いが母親を行動に移させた。

 母親はこれまで、逃走車両発見のヒントになればと、事故現場周辺を通る車のナンバーをチェック。警察に情報提供した。チラシを作成、配布して情報提供を呼び掛けたことも。だが逃走車両は発見されないまま、時だけが過ぎていく。それは母親にとって、時効までの残された時間が少なくなっていくことを意味している。

 事件では16年に道交法違反(ひき逃げ)罪の時効が成立。自動車運転過失致死罪の時効も今年9月に迫っている。県警が遺品の腕時計を紛失したことが明らかになるなど、事態が好転する様子は感じられない。「もう時効が成立したのかと思っていた」。そんな声を聞くことも。「このまま犯人を捕まえてもらうことはできないのか」。その思いは強くなっていく。

 「ブログを書くことで皆さんからの情報を求め、犯人逮捕につながることができれば。ブログを一人でも多くの方に見てもらい、情報提供の協力をお願いしたい」。母親の思いは切実だ。

 ブログでは小関君が小さい頃の写真を掲載。好きだったサッカーを始めた際のエピソードや母子の思い出、亡くなった小関君の父親に関する記述などもある。

 「(事件が起きた)あの時、何があったのか。なぜ孝徳は亡くなったのか。知っているのは犯人だけ。それを聞きたいから、犯人には逃げないでほしい」。一貫した母親の思い。その時が来ることを信じて、母親は情報を発信し続けていく。

 ブログは「未解決!!熊谷市死亡ひき逃げ事故!!時効まで8カ月!!」のタイトルで開設。「どんなささいなことでも構いません」と事故に関する情報提供を呼び掛けている。

■熊谷小4男児死亡ひき逃げ事件

 2009年9月30日午後6時50分ごろ、熊谷市本石1丁目の市道で自転車に乗っていた市立石原小4年小関孝徳君=当時(10)=が車にひかれ、死亡した。車は普通乗用車で、北大通りから国道17号方面へ逃走したとみられているが、発見されず真相は明らかになっていない。

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