埼玉新聞

 

売り切れ続出“ドレッシング”話題、埼玉など自販機で人気 開発した飲食店うれしい悲鳴、さらに今後は

  • コロナ禍で苦境の店を救った「やさいがすすむドレッシング」を手にする池田純一さん=19日、和光市本町のレストラン・ダイニングバー「FOODS&BAR A―One」

    コロナ禍で苦境の店を救った「やさいがすすむドレッシング」を手にする池田純一さん=19日、和光市本町のレストラン・ダイニングバー「FOODS&BAR A―One」

  • コロナ禍で苦境の店を救った「やさいがすすむドレッシング」を手にする池田純一さん=19日、和光市本町のレストラン・ダイニングバー「FOODS&BAR A―One」

 冷凍ギョーザや冷凍ラーメン、パンなど、新型コロナウイルスの影響で打撃を受けた飲食店が自動販売機での販売で活路を見いだす例は多い。和光市本町にあるレストラン・ダイニングバー「FOODS&BAR A―One」は27年前に東京都板橋区の成増に開店した1号店を新型コロナの影響で閉店。その1号店の売り上げをカバーする救世主となっているのが、8年前に開発し商品化した「やさいがすすむドレッシング」だ。県内外22カ所に自動販売機が設置され、一時期は売り切れ続出の人気商品となっている。

 もともとドレッシング好きだった店主の池田純一さん(53)は、「サラダは野菜などの具材がメインだが、ドレッシングが中心のメニューを作りたかったので11年前にこのドレッシングを開発した。グリーンサラダに絶品ドレッシングかけ放題というメニューを出したら大変好評で、お客さんからドレッシング単体で売ってほしいとの声があり、商品化した」と開発のきっかけを話す。

 特長は、無添加のニンジン、タマネギ、リンゴのすりおろしに、ごまやニンニク、卵、アンチョビを合わせた、池田さんこだわりの作。商品化後は、月に100本売れるほどの人気商品となった。

 順風満帆だった日常に新型コロナが襲いかかり、世の中は自粛ムードに。飲食店も時短営業を強いられ、経営を圧迫した。「国からの助成金もあったが、それでは全然賄いきれない。従業員のためにも何とかしなければと思い、行動に移した」と当時を振り返る。

 コロナ禍の2年半前に自販機販売を始めた。当初は専用自販機や設置場所を探すのに難航したが、今では和光市や朝霞、戸田、蕨、川口市、大宮区などの県内のほか、練馬、板橋区など都内にも設置。テレビなどでも取り上げられ、月平均3500~4千本売れる話題の商品となった。

 「いろいろな媒体で取り上げてもらったので反響は大きく、一時は売り切れ続出の事態になったこともあった。主婦層はもちろん、年配の方のリピーターも多く、遠方から店まで来てくれた方もいて、本当にうれしい悲鳴です。コロナ禍の苦境をこのドレッシングが助けてくれました」

 現在は店がオープンする前に毎日4時間かけてドレッシングを作り、各地に配送する。今後について、池田さんは「配送の問題もあるので、自販機販売は現状ここまで。ネット通信販売は発注が入ってから用意できるので、今後はネット通販に力を入れていきたい」と見据える。

 価格は自販機で1本600円(税込み)、ネット通販は1本660円(同)。野菜はもちろん、揚げ物や生魚まで合うという万能調味料。「一度食べたらはまる味。ぜひご賞味を」と池田さんは話している。
 

ツイート シェア シェア