埼玉新聞

 

大宮公園の小動物園で気軽に癒しを 人気者はツキノワグマのヨリー、ライオンキングで悪者の猛獣も

  • 13年前に寄居町で保護されたツキノワグマの「ヨリー」=大宮公園小動物園(提供写真)

  • カピバラの世話をする飼育員の斉藤香央梨さん=大宮公園小動物園

 「え!クマ?」「クマがいるの?」。初めて訪れる人たちが異口同音に驚く。さいたま市の大宮公園内にある小動物園は、文字通り小さな動物園なのだが、猛獣のクマがいるのだ。

 ツキノワグマのヨリーは、2006年に寄居町で保護されて同園にやってきた。埼玉新聞をはじめメディアでも報道されたので、覚えている人もいるのでは。寄居町にいたから「ヨリー」。推定年齢は14歳で、人間でいえば30代ぐらいらしい。もう一頭のクマのクマキチとともに動物園の人気者だ。

 そもそもこの動物園が建設されたきっかけはクマだ。1949年、当時の県知事が北海道を来訪し、埼玉県開拓団の村「秩父峡」で見た子グマを譲り受けた。大宮公園に小さなおりを作って飼育したのが動物園の始まりだったという。

 9月最初の土曜日。まだ暑さが厳しかったが、来園者は跡を絶たない。ファミリーやカップル、団体客もいれば高齢夫婦も。川口市の小沼毅さん(27)は妻絵莉子さん(31)と舜くん(2)とともに来園。「手軽でお気に入り。無料でクマまで見られる。十分です」。幸せそうに動物たちを見つめる。

 飼育員の斉藤香央梨さん(28)は、幼い頃から動物園で働きたいという夢をかなえたという。鳥たちの楽園「フライングケージ」、クモテナガザルやフサオマキザルなどのサル舎、ベンガルヤマネコなどがいる小獣舎などを案内してくれた。カピバラは、さいたま水族館から毎週もらってくるホテイアオイが好物でおいしそうに食べていた。

 猛獣舎のブチハイエナでは、19歳のホシ(オス)がお目見え。「ライオンキング」では悪者に描かれているが「実は賢くて狩りも上手。12種類の鳴き声を持つといわれてます」と斉藤さん。英名は「ラフィングハイエナ」。キャキャキャと笑うような声で鳴くそうだ。

 斉藤さんが「今一番見ていただきたい子たち」と言うのは、8月27日に生まれたばかりのクビワペッカリーの赤ちゃん。2頭がヨチヨチ歩く姿は何とも愛らしい。ニホンザルにも6月に生まれた赤ちゃんがいる。

 気軽で、楽しく、癒しの小動物園。いつまでもいたくなった。

【メモ】大宮公園小動物園

 さいたま市大宮区高鼻町4(電話048・641・6391)。JR大宮駅から徒歩20分、東武アーバンパークライン大宮公園駅から徒歩10分。午前10時~午後4時。休園日は月曜日(祭日の場合は火曜日)。入場無料。

 イベントは「ブチハイエナのガリガリタイム」(土、日、祝祭日午後1時半から15分間)、「ツキノワグマのペロペロペロタイム」(同午後1時45分から15分間)、「テンジクネズミのふれあいタイム」(日、祝祭日午後2~3時)

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