【NEOインタビュー⑱】亀屋日本伝統 工芸品の面白さは”無限” さいたま市浦和区
「素材や技法、背景にある歴史や作家の思いなど、工芸品の面白さは無限。『気が付いたら身近に工芸がある』世の中にしたい」とビジョンを語る。
画家のゴッホを題材にした原田マハさんの小説「たゆたえども沈まず」を読み、「一つのことを、人生を懸けてやり遂げる芸術家の姿に心を揺さぶられた」。職人や作家の仕事に興味を持ち、新卒で入社した商社を退職。日本の伝統工芸の魅力を広めようと、2024年に「亀屋日本伝統」を創業した。
初めて飛び込む工芸の世界。作家とのつながりはなく、佐賀県の有田焼や石川県の輪島塗など全国各地の人間国宝の元を訪ねて直接思いを伝えた。足しげく通う中で約20人の人間国宝らと関係を築き、展覧会のために作品を貸し出すなど、協力してくれるようになった。
8月には県立近代美術館(さいたま市浦和区)で同社主催の展覧会「人間国宝の工芸を『感じる』展」を初めて開催。陶芸や染織、木竹工芸などさまざまなジャンルの作品が並び、親子連れから年配者まで幅広い世代の来場者で連日にぎわった。「生まれ育った埼玉で開催できたことがうれしい。身近な場所で文化に触れることができる機会を増やしていきたい」
昨年にはオマーン国立博物館とのプロジェクトを始動。福岡県の伝統的な「久留米絣(がすり)」の技術を用いた現地の民族衣装の制作を企画するなど、持ち前の行動力で海外への発信にも積極的に取り組む。
「工芸は作り手と受け手があっての文化。楽しく生活に取り入れてもらえるよう、両者の視点に立って魅力を発信していきたい」と力を込めた。
■私を支える 「父と兄」
父・英男さん(64)と兄・誉瑛(たかあき)さん(35)もそれぞれ勤めていた会社を辞めて亀屋日本伝統に入社。「3人4脚」で事業を運営している。「自分が至らないところも多いので、2人に助けられている。人生の先輩である2人から学ぶことも多く、愛を持って接してくれるのでありがたい」と感謝を込める。
家族で一緒に仕事をするようになり、以前より会話をする機会が増えたことがうれしいという。「人生経験豊富な父、幅広い知識を持つ兄と、『突破型』の自分。それぞれ得意分野があって、バランスが取れていると思う」と亀屋さんは笑顔を見せた。








