埼玉新聞

 

【NEOインタビュー⑰】磯屋 「感速動」で変化に挑む 埼玉県上里町

  • 【NEOインタビュー⑰】磯屋 「感速動」で変化に挑む 埼玉県上里町

    「社員や納め先、仕入れ先の皆さんを 笑顔にしたい」と話す磯屋の五味晃一 社長=上里町の磯屋本社工場

  • 【NEOインタビュー⑰】磯屋 「感速動」で変化に挑む 埼玉県上里町

 創業73年を迎える老舗ノリ加工・卸業「磯屋」の3代目。主力商品だった冠婚葬祭用の返礼品ギフトがコロナ禍を境に急減する中、「感(察知)・速(迅速)・動(行動)」の視座で変化の時代に挑む。

 2020年からのコロナ禍で葬祭の小規模化が進行し売上が減少。「ギフトの一本足打法では限界。社員のためにも新たな商売を考えなければ」と危機感を募らせ、暗中模索の日々を過ごす。転機は21年に訪れた。知人の紹介を受け「わらをもすがる思いで海外輸出支援の相談に行った」。競争の激しいアジアを避け、高所得かつ日本から遠い国をターゲットに市場開拓を決意した。

 取引国は当初2カ国、売上額は約200万円だったが、25年度には29カ国、約1億5600万円にまで拡大。海外事業はわずか4年で同社の新たな柱に成長した。「中東がブルーオーシャン(未開拓市場)だった。すしやおにぎりなどの和食ブームが大きい」と言い、さらなる市場拡大を展望する。

 販路が広がっても祖父(創業者)、父(現会長)の代から続く品質第一の姿勢は変わらない。本社工場(上里町)は県の「彩の国工場」にも指定され、社是「磯屋に関わる全ての人の笑顔と幸せのため」に、その精神が込められている。

 同社の「南高梅のり」などは国際的な品質品評機関・モンドセレクションで3年連続で金賞を受賞。これら独自商品の開発も社の伝統を受け継ぎながら、進取の気性で新たな活路を模索する3代目の実績だ。「また買いたいと思ってもらえる商品作りを徹底している。社員や納め先、仕入れ先の皆さんを笑顔にしたい」と力を込めた。

◆私を支える「盟友の本音」

 経営者にとって重要なのは信頼できる外部の視点。「互いに励まし合いながら、おかしいところは本音で指摘し合う。それが経営の支えになっている」。五味社長は15年ほど前から月に1回、先輩で同年代の経営者2人とオンライン会議を開催し、それぞれの社のビジョンに対する進捗(しんちょく)状況や悩みを共有している。

 相手は公認会計士事務所を運営する矢﨑誠一氏と税理士事務所を運営する田村基匡氏。共に幼い頃から高校、大学時代の先輩。「それぞれに夢があり、何でも言い合える存在。月に1度の報告会が事業を動かす原動力」と盟友たちとの切磋琢磨(せっさたくま)を重視する。

【会社概要】1953年に東京都豊島区目白で創業。現在は上里町に本社工場を構え、ノリの加工・卸業を展開する。商品パッケージの題字は、祖母・房子さんの筆によるもの。オンラインショップで商品販売も行っている。上里町勅使河原1139の4。(電話0495・33・1011)
【プロフィル】五味晃一(ごみ・こういち) 東京都練馬区出身、立教新座高、立教大出。趣味はテニスで、高校時代には県大会優勝、インターハイ出場の実績を持つ。
ツイート シェア シェア