埼玉新聞

 

【寄稿・連載(更新)】RB大宮アルディージャ 泉柊椰・ダービー2試合連続得点 ドリブル突破が得意、決定力に磨き 「思い切ってチャレンジしていく」

  • 得意のドリブルで相手ゴールを脅かす泉柊椰=7日に行われたさいたまダービーにて (クラブ提供)

    得意のドリブルで相手ゴールを脅かす泉柊椰=7日に行われたさいたまダービーにて (クラブ提供)

  • さいたまダービーで得点を決め、喜ぶ泉柊椰

    さいたまダービーで得点を決め、喜ぶ泉柊椰(クラブ提供)

  • 得意のドリブルで相手ゴールを脅かす泉柊椰=7日に行われたさいたまダービーにて (クラブ提供)
  • さいたまダービーで得点を決め、喜ぶ泉柊椰

 17年以来のJ1復帰を目ざすチームで、泉柊椰は独特の存在感を放つ。ドリブル突破が得意の25歳は、24年の大宮加入を機に攻守両面でプレーの激しさや強さを高め、決定力に磨きをかけた。同年のJ3でベストイレブンに選ばれて優勝でのJ2復帰に貢献すると、翌25年以降も主力として機能している。

 ここ2年半ほどで、体重を段階的に増やしてきた。加入時の60キロから67キロまで増量した。世界への飛躍も見据えた肉体改革である。

 「90分フル出場して、守備でもチームの助けになれるように。最後の笛が鳴るまで、チームの力になりたいんです」

 7月のプレシーズンマッチ、10月の天皇杯で、浦和レッズとのさいたまダービーが実現した。泉は2試合で得点を記録。

 「楽しかったですね。同じ相手から2試合連続得点はあるんですけど、3試合連続はあまりない。早く3度目の試合をして、また決めてダービー男になりたい」

 そのためにも、J1昇格を果たさなければならない。シーズン序盤の大宮は好位置につけているものの、全20チームの実力は拮抗している。J1自動昇格圏の上位2チームはもちろん、J1昇格プレーオフ出場圏の6位以内に入るのも簡単ではない。

 「自分が仕掛けること、得点に絡むことで、チームに勢いが生まれる。突破が難しい場面でも、思い切ってチャレンジしていく」

 背番号14がボールを持つと、何かが起こる。そんな選手になる。

■「挫折の連続」から大宮へ

 泉柊椰はサッカーエリートではない。そのキャリアは本人曰く「挫折の連続」だ。

 「小学生では選抜とかに選ばれていないし、セレッソ大阪のアカデミーのセレクションも不合格でした。ガンバ大阪からも話はなくて」

 悔しさをエネルギーに変え、サッカーに打ち込んだ。高校入学前にはセレッソ、ガンバ、ヴィッセル神戸からオファーが届いた。

 その中から神戸U-18の一員となり、16年にU-16日本代表に選出される。同学年の中村敬斗や一学年下の久保建英らが競い合うチームで、ほとんどプレータイムを与えられなかった。その後は招集されなかった。

 さらには神戸U-18からトップチームへの昇格が叶わず、びわこ成蹊スポーツ大学へ進学する。それでも、関西学生リーグ1部で3年連続ベストイレブンに輝き、23年に神戸でプロサッカー選手となった。
「大学で成長した姿を見せてプロに行きたい、という思いでした。でも、神戸に入ってからはなかなか試合に出られなかったですね」

 神戸はFW大迫勇也、FW武藤嘉紀ら日本代表経験者を揃え、どのポジションにも2人以上の実力者を揃えていた。その年に初のJ1リーグ制覇を成し遂げるチームを離れ、8月にJ2のモンテディオ山形へ期限付き移籍する。しかし、ここでも出場機会は限られた。

 転機は24年に訪れる。J3からの再出発を期す大宮へ育成型期限付き移籍し、得意とする左サイドで起用された。全38試合に起用されて6得点6アシストを記録。J3優勝でのJ2復帰を後押しし、自身はベストイレブンに選出された。

■大宮でJ1へ これからも自らの殻を破る

 26年2月から6月にかけて開催された明治安田J2・J3百年構想リーグでは、得点ランク2位タイの10ゴールを叩き出した。26/27シーズンも開幕から先発に定着し、12節終了時点で3得点をあげている。

 進化のためには立ち止まらない。日常生活から見直す。
 「ちょっと調子が良くない時とかは、食事や水分補給を変えたり、朝にピラティスしたり、夜にヨガをしたりと、新しいことを始めます。一人暮らしで自炊をしているので、今シーズンから栄養士をつけました。現状維持は好きじゃないので、ちょっとずつ変えながら、合わなければやめて、という感じです」

 レベルアップにはどこまでもどん欲だ。欧州のトップリーグの映像を観て、同じウイングの選手からアップデートのヒントを得ている。

 自らを「完璧主義者」と言う。ボールを失ってはいけないとの意識が働きがちだが、「それも変えていかなきゃ」との思いを抱く。

 「確率ばかりを考えて、ミスを避けるために仕掛けをやめると、攻撃が停滞しちゃう。無理やりにでも仕掛けて、もしボールを失ったら高い位置で奪い返せばいい。そういう姿勢を見せていきたい」

 華麗なステップで相手を抜き去るだけでなく、守備組織を強引に破壊するドリブルでカオスを呼び込む。その先にゴールが、チームの勝利がある。

 「大宮へ来て良かったと言えるためにも、J1へ上がらないと」

 這い上がる力を知る男は、自らの殻を破ってきた。これからも破っていく。何度でも。

(大宮広報・戸塚啓)

 さいたま市5区(大宮、北、西、見沼、岩槻)をホームタウンとするプロサッカーチームのRB大宮アルディージャを取材しているチーム広報のライターたちが、男女選手たちの素顔や現況を伝える。

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