生還を信じていた…道路陥没で父死亡、娘3人が埼玉県を提訴 トラックごと転落…直後は消防隊と会話できたのに救助は3カ月以上に 「歴史的に例を見ない悲惨なもの」 慰謝料5千万円含め1億2546万円求める
昨年1月に埼玉県八潮市の県道で道路が陥没し、トラック運転手の男性=当時(74)=が死亡した事故で、下水道施設として有すべき安全性を欠いていたとして、男性の遺族が県を相手取り、1億2546万円の損害賠償を求めて、さいたま地裁に提訴したことが21日、分かった。男性が勤めていた運送会社も5198万円の損害賠償を求めている。いずれも提訴は7月28日付。
事故は昨年1月28日に発生。道路が陥没した数秒後に男性が運転するトラックが転落し、男性は死亡した。訴状によると、男性の娘3人が原告となっている。訴状では事故後に発足した原因究明委員会で、陥没事故が硫化水素によって腐食したことに起因したという結論を出したことなどを挙げ、「通常有すべき安全性を欠いており、管理の瑕疵(かし)」があったと指摘している。
死亡慰謝料として5千万円を請求。男性はトラックを運転中、突然道路が陥没し、車両ごと落下したもので、「歴史的に見ても例を見ない悲惨なものだ」としている。事故当時は消防隊と会話が可能だったことから遺族らは男性の生還を強く信じていたが、救助活動は3カ月以上にわたり、常に不安と心配を抱えて過ごし、「長期間にわたる極度の精神的不安および心理的苦痛は甚大だ」とした。
男性が勤めていた千葉県の運送会社は遺族同様、県の瑕疵を指摘するとともに、事故車両である小型クレーン付きの車の賠償、事故の対応に追われて生じた会社の損失についても請求している。
大野元裕知事は「事故によってお亡くなりになった方に対して心からお悔やみを申し上げるとともに、残されたご家族、関係者の皆さまに対しお見舞いを申し上げます。現在、訴状の内容を精査しているところでございます。今後とも適切に対応してまいります」とコメントした。
事故後に原因究明委員会が立ち上がり、今年2月に陥没箇所の下水管について「内部の腐食、損傷のリスクの高まりを予測できた」とする一方で、陥没に至った空洞は「未然に予測することは可能だったとは言えない」と結論付けていた。現場近くの住民は昨年12月に被害者の会「虹の架け橋」を発足し、県は周辺住民らに金銭補償の交渉をしている。
第1回口頭弁論は11月20日、さいたま地裁で行われる予定。










