埼玉新聞

 

眼科の新たな地域拠点に 関連分野との連携強化 「患者の生活の質を支えたい」 さいたま市見沼区 くらかず眼科 倉員敏明院長

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    倉員敏明院長

  • くらかず眼科

    さいたま市見沼区南中丸の「くらかず眼科」

  • 【地図】さいたま市見沼区(背景薄緑)

    さいたま市見沼区

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 さいたま市見沼区南中丸で目の治療に取り組む「くらかず眼科」の倉員(くらかず)敏明院長は、兵庫から埼玉に移り住み病院を再建した。最先端の治療を追究する姿勢に、県内外から患者が訪れる。医療機器開発者やメガネチェーン店など多方面と連携し、地域の眼科医療の新たな展開に手応えを感じている。

■患者のカルテを守る

 心臓外科医から眼科医になった倉員さんは、兵庫県で崩壊した地域医療の再生に尽力した。カルテがない中で白内障の患者が、緑内障の薬を受け取っていたこともあったという。必死に病院を支え続け、中核となる病院ができることで周辺に開業医が増え、地域医療が安定していく好循環を実感した。

 地域医療再生のモデルを、東日本大震災で疲弊した福島に広げようと決意。眼科センターを立ち上げるため、知人の医師から誘われ、福島への足掛かりとして埼玉に拠点を移した。その矢先、埼玉の病院が経営難になり、「火中の栗」を拾う形で眼科を引き継いだ。

 経営が困難になった眼科を引き継いで5年で再建。最先端の技術と設備、知見を生かした診療で、患者の信頼を集めた。「患者のカルテを守ることだけを考えて、とにかく自分ができることを一生懸命やろうと。ようやく『頑張っているね』と言ってもらえるようになった」

 都市部に近い埼玉でも、かつて兵庫で味わったような「地域医療の過疎化」だと感じる瞬間があるという。高齢化や都市部への集約が進み、働き盛りの医師は不足。各地から訪れる患者を診る中で、地域間の医療の隔たりを実感している。

 医師側が選択肢を示さない場合もあれば、患者側が自ら医療のハードルをつくる場合もある。「レーザー治療をそもそも説明されず、目薬しかない、と言われるケースが多々ある」と危機感を募らせる。
 専門の白内障治療では多焦点眼内レンズの普及率が低い状況を指摘する。「患者に経済力がないからではなく、医師が選択肢として提示していない」と課題に挙げた。

■「眼科のセンター」を

 医療関連産業など他分野との連携にも積極的だ。ロービジョンをサポートする機器の開発に注力し、大手、ベンチャーを問わず、志を持つ人々との連携を強化している。最新の拡大読書器を手に「全員を助けられるわけではない。どうしても見えなくなっていく患者に何ができるか。サポートする機器も重要だ」と話す。

 大手メガネチェーン店とは勉強会を開催し、スタッフと目の知識を共有する。「メガネ店は視力を測るのがうまい。メガネ店で『おかしいな』と思うような見え方をする客は、背後に目の病気が隠れていることが多い。メガネ店と眼科がしっかりと連携する仕組みができる」と自信を見せる。

 地域に欠かせない緊急患者の対応にも重きを置く。患者受け入れの要請に応じる「応需率」100%を目指す。「大学病院でも総合病院でもない、目の疾患に対して最先端の技術と幅広い選択肢を提供できる『眼科のセンター』を作りたい。患者の生活の質を根本から支えたい」と目を輝かせた。

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