【NEOインタビュー②】寺田養蜂園 まちの産業を持続可能に 埼玉県・越生町
2022年に単身で越生町の借家に移り住み、養蜂と梅の農家となって3年目。自身を取り巻く環境は大きく一変した。現在では、持ち家に妻の明奈さん(38)と愛猫2匹、今春に誕生した第1子と共に暮らす。「暮らしを守り、無理なく町の特産に関われるモデルケースを確立していきたい」と駆けずり回る。
中学卒業後、生まれ育ったさいたま市見沼区を離れ、県外の高校に駅伝部のスポーツ特待で入学した。そこで出合った「蜂針療法」で養蜂に興味を持ち、大学卒業後は養蜂場に就職。「培ってきた技術や知識を生かしたい」と国際協力機構(JICA)の海外協力隊に応募した。アフリカで農業普及員として活動し、蜂蜜の収穫量を増やすことに成功。2年4カ月の活動の表彰を受け帰国すると、間もなく新型コロナウイルス感染症がまん延した。
社会の経済活動が停滞する中で、独立を模索し「複合農業」の考えが生まれた。養蜂と果樹の相性を突き詰め、蜂で効率的な受粉を促すことが必要な梅に行き着く。「梅と蜂は相性が良い」。泊まり込みで梅の栽培を学ばせてくれた越生町の梅農家の後押しもあって、そのまま同町で「寺田養蜂園」を開園。養蜂と梅で新規就農者となった。
県はちみつ品評会で、最高位の賞を受賞。梅の受粉期には町内農家から蜂の貸し出し要請の依頼が来るなど順調な滑り出しを見せるも、今後懸念しているのは、後継者不足となっている町内の梅農家。「家族全員で農業を行う『専業農家』という道だけではなく、他の生業を持ちながら農業を兼任する『半農×半X』というような概念を広めていけたら」と力を込める。
◆私を支える 師匠の梅農家
泊まり込みでの梅の栽培の指導を受け入れてくれた越生町の梅農家・山口由美さん(58)との関係は、寺田養蜂園の開園後も続いている。「人とのつながりを大事にする師匠」と話す山口さんの農園には、多種多様な業界の老若男女が出入りしており、自身も農園での出会いで広がったビジネスがあるが、一番の出会いは妻の明奈さん。山口さんのことを夫婦そろって「ゆみさん」と呼ぶ。
「ゆみさんを通して、大好きになった越生町。恩返しができるよう『伝統・文化・コミュニティー』を守りながらまずは自分たちでできることをしていきたい」と前を向く。










