埼玉新聞

 

【連載】埼玉発・企業トップが語る成長戦略 武蔵屋・小林総子社長〈後編〉 創業100年を見据え、修繕内製化を新たな武器に 「手ぶら登園」サブスク、異業種連携も

  • インタビューに答える武蔵屋の小林総子社長=さいたま市見沼区東大宮の本社

    インタビューに答える武蔵屋の小林総子社長=さいたま市見沼区東大宮の本社

  • 食品工場の白衣を洗濯・乾燥後に仕上げの機械に投入=群馬県の藤岡ユニフォーム工場(武蔵屋提供)

    食品工場の白衣を洗濯・乾燥後に仕上げの機械に投入=群馬県の藤岡ユニフォーム工場(武蔵屋提供)

  • 洗濯後のシーツを仕上げる機械に投入=群馬県の藤岡リネン工場(武蔵屋提供)

    洗濯後のシーツを仕上げる機械に投入=群馬県の藤岡リネン工場(武蔵屋提供)

  • 最新設備によりクリーニング=上尾市の上尾工場(武蔵屋提供)

    最新設備によりクリーニング=上尾市の上尾工場(武蔵屋提供)

  • インタビューに答える武蔵屋の小林総子社長=さいたま市見沼区東大宮の本社
  • 食品工場の白衣を洗濯・乾燥後に仕上げの機械に投入=群馬県の藤岡ユニフォーム工場(武蔵屋提供)
  • 洗濯後のシーツを仕上げる機械に投入=群馬県の藤岡リネン工場(武蔵屋提供)
  • 最新設備によりクリーニング=上尾市の上尾工場(武蔵屋提供)

 個人向けクリーニングをはじめ、法人向けのリネンサプライやユニフォームレンタルなどを広範に手がける武蔵屋(さいたま市見沼区東大宮)。地域社会からの厚い信頼と卓越した品質の高さを基盤に事業を拡大し、着実な成長を続けている。小林総子社長に、激変する市場環境を見据えた今後の事業戦略について聞いた。

 ―今後の成長に向けた足元の課題は何でしょうか。

 「クリーニング工場内で稼働している大型機械設備の修理・メンテナンス体制が大きな課題でした。これまでは不具合が生じるたびに外部の専門業者に依頼していましたが、対応までに時間がかかり、コストも莫大になってしまいます。そこで『自社内で内製化できないか』と考え、機械の修理やメンテナンスを専門に行える技術職の社員を募集しました。幸いにも10月から頼もしい人材が1名入社し、勤務を始めています。まずは自社工場の設備維持における内製化の地盤を固めたいと考えています」

 ―設備の修理・メンテナンス部門は、今後どのように事業展開していくのでしょうか。

 「社内に独立した『修繕部隊(部門)』を本格的に組織化していく計画です。自社工場の設備修繕にとどまらず、同じような悩みを抱える同業他社や他業界の工場へ、武蔵屋の修繕部隊を派遣してビジネスを行う『外販事業』としての事業化構想を描いています。この修繕外販を、将来的な武蔵屋の新たな事業の柱のひとつに育てていきたい。この部隊を組織化し、スピード感を持って規模を拡大していく過程では、修繕やメンテナンスを専門とする会社のM&A(合併・買収)も、有力な選択肢のひとつとして視野に入ってきます」

 ―既存のクリーニングの枠を超え、新たな事業の柱を次々と構築されています。

 「次の節目である『創業100年』、そして『売上高100億円』という高い目標を目指していく上で、既存事業の延長線上だけではない、新たな事業の柱の構築は不可欠です。今後は、武蔵屋のインフラやネットワークを活かし、さまざまな外部企業とタイアップを組みながら、市場の新たな需要を取り込める商材の開発を積極的に進めていきます」

 「具体的には、すでに紳士服大手のはるやま商事とタイアップを展開しています。はるやま商事が開発・製造した機能性の高い館内着を、武蔵屋の顧客に提案して採用していただき、その納品後の日々のクリーニングを武蔵屋が一括して担うという仕組みです。今後はこの成功モデルを横展開し、衛生管理が厳しい食品工場向けに『冷感素材の白衣』を提案していくほか、健康意識の高まりを捉えた『リカバリーウエア』の販売も積極的に進めていく予定です。こうした実績を地道に積み重ねていった先には、業務提携というステージも見えてくると考えています」

 「また、児童施設向けの商品販売事業を扱うゲートリンクとは、子育て世代の支援を目的とした『保育園の手ぶら登園』サービスの試験導入を間もなく実施する段階にあります。これは、保育園に着替えなどの荷物を持たずに文字通り『手ぶら』で登園できるようにするもので、毎日忙しいお母さん、お父さんの登園準備や洗濯の負担を劇的に軽減できる取り組みです。利用料金はサブスクリプション(月額定額制)方式での展開を想定しています。すでに実証実験を行う保育園が内定しましたので、まずはそこで丁寧に進め、保育園側と親御さん側の双方がしっかりとメリットを実感できるビジネスモデルとして確立させたいと考えています」

 ―激しい変化の時代において、最終的にどのような企業を目指していきますか。

 「どれほど事業規模が拡大し、新しいビジネスに挑戦しようとも、現場ではたらく社員を最も大切にして、一つ一つの事業を地道に愚直に進めていくことこそが、武蔵屋の脈々と受け継がれてきたDNAです。この原点を何よりも大切に守りながら、お取引先であるお客さま、共に働く従業員をはじめ、武蔵屋にかかわるすべての人の幸福を追求し、持続可能な社会に貢献できる企業を目指していきます」

【企業概要】株式会社武蔵屋…本社・さいたま市見沼区東大宮4-29-1。1950年12月に設立。資本金は5000万円、従業員数は418人(2026年7月末現在)。法人向けリネンサプライ、業務用ユニフォームレンタル&クリーニング、個人向けホームドライクリーニング、業務用各種商材の販売・卸売を扱う。主要拠点は上尾市に上尾工場、群馬県藤岡市に藤岡ユニフォーム工場・藤岡リネン工場。

【埼玉県の経済をけん引する企業トップに焦点を当てた、新インタビュー連載「埼玉発・企業トップが語る成長戦略」がスタート。毎週火曜日と金曜日の週2回、電子版で配信する。激変する経営環境のなかで、いかにして次の成長カーブを描いているのか。最前線で舵を取る経営者の戦略に迫る】

=埼玉新聞WEB版=

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