埼玉新聞

 

【連載】埼玉発・企業トップが語る成長戦略・富岡食品冨岡宏臣社長・前編 高付加価値商品に特化、栃木県に新工場開設し生産増強

  • インタビューに答える富岡食品の冨岡宏臣社長=深谷市東大沼の富岡食品本社

    インタビューに答える富岡食品の冨岡宏臣社長=深谷市東大沼の富岡食品本社

  • 富岡食品が原料や製法にこだわってつくっている自社商品(富岡食品提供)

    富岡食品が原料や製法にこだわってつくっている自社商品(富岡食品提供)

  • インタビューに答える富岡食品の冨岡宏臣社長=深谷市東大沼の富岡食品本社
  • 富岡食品が原料や製法にこだわってつくっている自社商品(富岡食品提供)

 大豆加工品を製造販売する富岡食品(深谷市東大沼)は、1926年(大正15年)4月に創業した老舗企業だ。激変する市場環境を乗り越え、富岡食品にしかできない商品を開発・提供し成長を続けている。次の100年に向けて新たなスタートを切ったいま、冨岡宏臣社長に今後の戦略を聞いた。

 ―今年創業100年を迎えましたが、どのような思いがありますか。
 「感謝の言葉しかない。これまでの歩みは決して順風満帆ではなく、幾度もの苦難の時期があった。その都度、お客さまや地域の皆さま、そして従業員に支えられて乗り越えてくることができた。多くの方々の支えがあっていまがあると実感している」

 ―苦難の時とはどのようなものだったのですか。
 「元々は納豆をつくって販売する町の小さな納豆屋からスタートした会社だ。その後、豆腐の製造に参入し、スーパーマーケットとの取引も始まった。しかし、納豆や豆腐は比較的参入しやすく、市場全体が供給過剰に陥りがち。結果として、利益を確保することが難しい構造にもなっていった」

 ―どのようにして乗り越えましたか。
 「大きな決断だったが、それまでの主力でもあった納豆と豆腐の自社製造を終了することにした。そして他社が簡単には真似できない付加価値の高い商品を自社で開発し提供していくという方針に舵を切った。この方針を従業員に伝え、一丸となって実行に移した」

 ―どのような商品に絞り込んだのですか。
 「『いなり寿司の皮』と『油揚げのきざみ揚げ』、『がんもどき』の3品に特化した。限られた経営資源をこの3品の開発製造にすべて投入した」

 「これらをつくるには非常に手間がかかり、高度な技術が必要。そのため、作り手が少なく、技術を持つ職人も減少傾向にあった。受給バランスの面でも大きなチャンスととらえた。富岡食品の100年間の歴史で培ってきたノウハウや技術力という強みを最大限発揮できると考えた。富岡食品の技術開発力を活かせる高付加価値商品を提供し続ける。生産能力も増強したい」

 ―今後の生産能力の増強計画は。
 「現在、深谷市に3カ所、栃木県佐野市に1か所の計4工場で生産しているが、国内外での健康志向の高まりを受け、需要に供給が追い付いていない状況だ。このニーズに対応するため、栃木県足利市に新たな工場を立ち上げる計画を進めている」

【企業概要】株式会社富岡食品…本社・深谷市東大沼229‐1。1926年4月に創業。資本金は5000万円、従業員数は211人(2026年8月末現在)。事業内容は、大豆加工品を製造販売。自社商品を販売する直営店「富ばあちゃんのいなり本舗」と「富じいちゃんのがんも屋」を深谷市内に展開する。

【埼玉県の経済をけん引する企業トップに焦点を当てた、新インタビュー連載「埼玉発・企業トップが語る成長戦略」がスタート。毎週火曜日と金曜日の週2回、電子版で配信する。激変する経営環境のなかで、いかにして次の成長カーブを描いているのか。最前線で舵を取る経営者の戦略に迫る】

=埼玉新聞WEB版=

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