埼玉新聞

 

さいたまで初…西区のマンション、受水槽に給水栓を設置 非常時に開放、住民へ給水 もしもの時の備えに 首都圏で高まる災害リスク…市が設置要件を緩和、条件付きで可能に

  • 指扇ホームズの受水槽に設置された非常用の給水栓について説明する同マンションの自治会長を務める今井良治さん

    指扇ホームズの受水槽に設置された非常用の給水栓について説明する同マンションの自治会長を務める今井良治さん=さいたま市西区

  • 指扇ホームズの受水槽に設置された非常用の給水栓について説明する同マンションの自治会長を務める今井良治さん

 さいたま市西区高木のマンション「指扇ホームズ」は昨秋、災害などの非常時に備えて、給水栓を受水槽に設置した。一般的な蛇口のような形で、災害などで配水管が断水してポンプが稼働しない状況でも、受水槽内の水を使用することができるようになる。同市内での設置例は初めて。

 指扇ホームズは、12階建て総戸数44戸の鉄骨鉄筋コンクリート構造で、現在は約100人が入居している。敷地内には最大容量25トンの受水槽が設置されており、非常時には管理組合長と自治会長の判断で、給水栓を開放し、住民へ給水する。

 さいたま市は2025年4月に、災害時の自助・公助の観点から、非常用給水栓の設置要件を緩和。受水槽以降の各戸に水道局のメーターを設置し、料金請求を行う「戸別検針共同住宅」の受水槽へ設置することを条件付きで可能にした。同マンションは、緩和を受けて設置した形だ。

 同市給水工事課によると、盗水や漏水を防ぐためにも設置に関する条件として、(1)非常用給水栓の栓数は受水槽ごとに原則1、2栓程度とする(2)災害時以外の使用を防止するため、キー付き水栓とする(3)水栓直近に「災害時以外使用禁止」と表示した看板を設置し、文字が常に識別できるよう管理する(4)受水槽と水栓の間には、維持管理用のバルブを設置する(5)受水槽の壁面、連通管、流出管、水抜管に設置する(6)受水槽の周囲1メートル以内に設置する(7)漏水の早期発見が困難となる設置は行わないこと―を設定している。

 設置費用や維持管理費は自己負担と定められており、指扇ホームズの場合は、約20万円で設置したという。同マンションの自治会長を務める今井良治さんは「蛇口一つで、たくさんの命を救うことができるなら、20万円でも安いくらい」とし、「市内でも数年の間でマンションの数は増えている。市民の命を守るためにも、指扇ホームズの事例を参考に、ぜひ非常用の給水栓を検討してほしい」と呼びかける。

 首都圏での災害リスクが高まっていることを受けて、県内の自治体でも同様の取り組みが進められており、川口市や朝霞市などではすでに給水栓の設置に関する基準が定められている。川口市は9件、朝霞市では1件の共同住宅で設置されており、さいたま市では26年4月時点で、三つの共同住宅から申請を受けているという。

 川口市上水道維持課の担当者は「被災時、もしもの時に最も大事なものの一つが水だと思う。給水栓の設置が、命をつなぎ留める行動の手助けにつながってほしい」と話した。

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