“二刀流”女性社員は現役サッカー選手 「アスリートと社会をつなぐ架け橋に」 さいたま市出身の三木さん 女性アスリート支援に奔走
女性アスリートの支援に情熱を注ぐ女性社員は現役サッカー選手―。珍しい二刀流で奮闘する三木萌子さん(28)=さいたま市緑区出身=は、なでしこリーグのチーム在籍時に男子選手との境遇の差を痛感した経験を基に、女性選手が考えたオリジナル商品の開発や販売を支援するなどのプロジェクトを担当する。自身も昨年9月、5年ぶりに現役復帰。「アスリートと社会をつなぐ架け橋になりたい」と、唯一無二の存在として、“二つのピッチ”を所狭しと駆け回る。
■男子との環境の差
旧浦和市生まれの三木さんは5歳でサッカーを始め、中学1年から高校3年まで浦和レッズレディースの下部組織に所属。順天堂大を経て、2020年にジェフ市原・千葉レディースに加入した。ただチームの新体制や勤務していた職場に適応できず、さらにけがもあり同年に退団した。
当時、感じていたのが男子と比べて置かれた環境の違いだ。給料などの待遇の面以外でも、例えば、練習着は男子のお下がりで、毎回同じ場所で練習できる男子に対して、女子は日によって練習場所が違った。「女子選手の環境を変えたい」。今の仕事を志すきっかけとなった。アスリートのセカンドキャリアを支援する人材会社を経て、21年6月に住宅ローン代理会社「FBモーゲージ」(本社・さいたま市大宮区)に入社した。
■ビジネススキル
同社では、主に県内の幼稚園や保育園で元アスリートと一緒にスポーツの楽しさを伝える活動「FBMキッズ」や企業からの選手とのタイアップ依頼を担う業務などに携わるとともに、23年には女子選手が考案したアパレルやコーヒーなどのオリジナル商品の開発、製造、販売を支援するプロジェクト「SUNNYS(サニーズ)」を社内で立ち上げ、リーダーを務める。「選手は引退後、競技しかできない印象が強い。現役中からビジネススキルを身に付けておけば、フィールドが変わってもきっと輝ける」
サニーズの課題は認知度の向上だ。「もともと興味を持っている人にしか届いてない印象。まずは私がやっているプロジェクトとして知ってほしい」とSNS(交流サイト)に力を入れる。インスタグラムでは自身が広告塔となり、さまざまな女性アスリートとコラボした動画やプロジェクトに対する熱い思いを発信。サニーズで知った選手をスタジアムに応援に行く人が増えるなど、徐々に輪の広がりを感じている。
■唯一無二に誇り
三木さんに昨年9月、転機が訪れ、元サッカー選手から「元」の肩書きが取れた。
同社社員でありながら岩手のチームで5年ぶりに現役復帰し、今年1月からはなでしこリーグ参入を目指すFC琉球さくらに加入。きっかけは「チーム関係者からお願いされたから」と笑うが、試合や合宿などチームに呼ばれた時に仕事を調整し駆け付ける。快く背中を押してくれた会社の理解に感謝し、「現役だと見る目が圧倒的に変わる」とピッチ内外での活躍を誓う。
アスリートと社会をつなぐ架け橋に―。大きな目標に向かっていく上での課題は、選手が社会のことを十分に理解しておらず、一方で企業側は選手の活用方法が分からないことだと実感している。「選手、企業の立場を経験し、どちらの視点も持てる私だからこそ、互いが求めることを伝えられると思っている」。生き生きとした表情が印象的だ。
【三木萌子(みき・もえこ)】5歳でサッカーを始め、小学6年で浦和レッズレディースの下部組織のセレクションに合格。中学1年から高校3年まで在籍した。順天堂大では関東大学選抜に2度、リーグベストイレブンに1度選出。2020年になでしこリーグ(当時)に所属していたジェフ千葉・市原レディース入り。同年に退団し現役引退。FBモーゲージの社員として女性アスリート支援などを行いながら、25年9月にFCゼブラレディース岩手に加入し現役復帰。今年1月にFC琉球さくら入りした。さいたま市緑区(旧浦和市)出身。28歳。ポジションDF。










