埼玉新聞

 

大手通販サイトが主催、いちごGPで最高金賞も…おいしいイチゴ、収穫できない日は出荷しない 埼玉・三郷 TNファームの石井さん 安易な量産化に走らず 「良いものを」とこだわる農家

  • 「目と手の届く範囲で安定的においしいものを」と石井信行さん

    「目と手の届く範囲で安定的においしいものを」と石井信行さん=三郷市

  • 「目と手の届く範囲で安定的においしいものを」と石井信行さん

 TNファーム(三郷) 石井信行さん

 三郷市茂田井で先端技術を駆使し、おいしいイチゴや野菜の栽培にこだわる「TNfarm(ファーム)」代表取締役社長の石井信行さん(33)。大手産直通販サイト「食べチョク」が主催する「全国いちごグランプリ2026」で最高金賞に輝いた。「おいしいものをどれだけ長く作れるか」にこだわる。

 200年以上続く農家を引き継ぐ。都市近郊で農地の確保が難しく、限られた面積で商品の単価を上げる経営を長年続けてきた。工夫を凝らしリスクを取るチャレンジ精神は祖父や父から学んだ。

 社名「TNファーム」は、代々続く屋号「たびや」の「T」と、「Natural(自然)」や「New(新しさ)」などを表す「N」への思いが込められている。「この土地で農家を続け、古いものと新しいものを組み合わせることを大切にしたい」

 「プレミアムいちご県」として近年、注目を集める埼玉のイチゴ。オリジナル品種の代表格が「あまりん」だ。ところが評判が上がるにつれ、農家それぞれの栽培方法や販売、流通によって味に差が出るようになった。石井さんは「ブランドの確立が急務」と課題を示す。

 石井さんは養液土耕栽培で水の管理を徹底。株に必要な水分、給液と廃液の量を細かく測る。手入れを丁寧に行い、朝一で完熟した良い粒だけを収穫する。包材にまで配慮し出荷。消費者の手にいかにおいしいイチゴが届くかにこだわる。良い粒が収穫できない日は出荷しない。「サイト側からすると迷惑になるのは分かっているが、良いものを出したい」とこだわる。

 圃(ほ)場の拡大や量産化に安易に走らない。「品質の安定が何より大切。目の届く範囲で安定的においしいものを出していく」と農家の矜持(きょうじ)を何よりも優先している。

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