埼玉新聞

 

南国の味を埼玉で! 深谷でまさかのサトウキビ収穫体験 鹿児島出身の隈元さん、黒糖作りにも意欲

  • 収穫したサトウキビを搾ってジュースにする体験者=深谷市宿根

    収穫したサトウキビを搾ってジュースにする体験者=深谷市宿根

  • サトウキビジュースを手にする隈元重幸さん

    サトウキビジュースを手にする隈元重幸さん

  • 収穫したサトウキビを搾ってジュースにする体験者=深谷市宿根
  • サトウキビジュースを手にする隈元重幸さん

 種子島など鹿児島県南西諸島や沖縄県で生産されているサトウキビ。はるか南方で栽培されているイメージがあるが、遠くまで行かなくても埼玉県内で収穫体験ができる所がある。深谷市宿根の隈元重幸さん(68)はサトウキビを栽培し、絞りたてのジュースを提供している。隈元さんは黒糖などの加工品作りも目指している。

 専用の鎌となたを手に、成長したサトウキビを切り取る。周りの葉はそぎ落とし、表面に付いているワックスを水で洗い流す。押し切りを使って茎を約40センチずつにカットした後、専用の搾り機で皮ごと搾っていく。搾りたての汁は若草色。青臭さを感じるのは一瞬で、すぐに甘さが口の中に広がる。

 深谷市の米谷悦子さん(74)は12日に収穫を体験した。沖縄には何回か行ったことあるが、サトウキビのジュース作りは初めて。「自然の物をいただけるのは最高のごちそう」と搾りたてのジュースを味わった。まきストーブの上でサトウキビを焼いた温かいジュースはさらに甘さがまろやかになる。

■祖母のあめ

 隈元さんは鹿児島県垂水市出身。サトウキビとの縁は子どもの頃。家が貧しく、キャラメルを買ってもらえず、駄菓子屋の前で泣いている姿を、製糖工場で働く祖母が見かけ、サトウキビ汁を煮詰めて周りにきな粉を付けた丸いあめを作ってくれた。祖母のあめは珍しく、友達がキャラメルと交換してくれた記憶が今でも残っている。

 54歳で会社を早期退職し、サトウキビや桜島大根、雲仙こぶ高菜、長崎白菜など故郷の九州地方の伝統野菜を栽培しながら老後の生活を楽しむ準備をしていた。母親の介護でサトウキビ栽培ができなくなった時期もあったが、介護が終わると、栽培を再開した。

 サトウキビのほ場は約300平方メートル。今季は約1200本が育ち、糖度は12~16度。株から芽が出てくる3月下旬に株を掘り起こし、土壌に肥料や石灰を入れ、株を埋め戻す。約9カ月後に背丈3メートルから3・5メートルのサトウキビに成長する。直径1~3センチほどで、品種「黒海道」など4種類を栽培。水分を好む夏の時期は午後5~9時ごろに水をまく。

■無農薬で栽培

 栽培に無駄なものはない。搾りかすは細かく砕き、わらを混ぜて堆肥にしてほ場に戻す。

 「搾りかすはいくらか糖分が残っているので微生物がすみ着きやすく、分解もされやすい」と隈元さんは無農薬にもこだわる。

 今年は、食品衛生責任者の資格を習得し、12畳ある草屋根小屋を工房に改装して、黒糖などの加工品作りにも取り組んでいく。

 「南西諸島のように20度以上の糖度はないが、生搾りのジュースを煮詰めれば黒糖もできる」。サトウキビジュースを手に隈元さんは今後の目標を語った。

 ◇

 収穫体験は2月中旬ごろまで。予約制で1組7人まで。ジュースを持ち帰る空のペットボトル500ミリリットルが必要。参加費1人千円。

 申し込みは、メール(satowkibi-kobow@au.com)から。

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