埼玉新聞

 

一緒の制服で再会「すごくうれしい」 所沢の小2が一日警察官 大好きな「お巡りさん」書いて総理大臣賞

  • 敬礼する加藤虎士さん(中央右)と熊井明弘さん=9日午前、所沢市日吉町の西武線所沢駅西口

    敬礼する加藤虎士さん(中央右)と熊井明弘さん=9日午前、所沢市日吉町の西武線所沢駅西口

  • 敬礼する加藤虎士さん(中央右)と熊井明弘さん=9日午前、所沢市日吉町の西武線所沢駅西口

 1月10日の「110番の日」を前に所沢署は9日、市内の小学2年生加藤虎士(とらじ)さん(8)を一日警察官に委嘱し、虎士さんとともに、同市日吉町の西武線所沢駅西口で、市民に110番の適正利用などを呼びかけた。委嘱は、虎士さんが昨年夏に行われた第31回全国小学生作文コンクール「わたしのまちのおまわりさん」(主催・日工組社会安全研究財団、全国少年警察ボランティア協会、読売新聞社)で、同署職員「くまいさん」との交流をテーマにした作文で内閣総理大臣賞を受賞したことから実現。警察官の制服に身を包んだ虎士さんは「警察官ってかっこいい。いつか本物の制服も着たい」と笑顔で話していた。

 所沢駅でのキャンペーンに先立って、同日所沢署で行われた委嘱式に出席した虎士さんは、少し緊張した面持ちで「今日は所沢市の警察さんを困らせないように一日警察官をします」と決意表明。同署の宮下敏郎署長から「お巡りさんのように優しくて強い子になってください」のエールとともに委嘱状を受け取ると、顔をほころばせた。

 委嘱式には「くまいさん」こと同署の熊井明弘さん(34)も駆け付け、虎士さんの勇姿を見守った。「熊井さんは優しくてかっこいい。異動して悲しかった」と虎士さんも久しぶりの再会を喜んでいた。

 「ありがとう」と題された受賞作文は、熊井さんが新所沢駅前交番に勤務していた一昨年ごろの、虎士さんと熊井さんの交流をつづったもので、川越市内の小学校へ通学するため同駅を利用していた虎士くんが熊井さんと交わした「約束」について書かれている。

 2人の出会いは虎士さんが幼稚園児のころ、母に連れられて虎士さんが同交番を訪れた日のことだった。「『警察官のことが知りたい。パトカーを見せてもらえませんか』とお母さんと交番に来てくれた」と熊井さんは振り返る。以来、2人は顔を合わせるとあいさつをする仲になり、勉強や運動の成果など、幼稚園や学校であったことを報告するようになった。

 警察官の仕事や装備に「これはなに?」「なんで? どうして?」と一つ一つ質問する虎士さんに、熊井さんはいつも「虎士はすごいなぁ」と感心していたといい、母の愛さんも「幼いころからよく質問する子だった」と語る。

 委嘱式後に所沢駅で行われたキャンペーンでも、大人から同世代の子どもまで、臆することなく啓発品を配りながら、熊井さんと110番の適正利用を呼びかけた虎士さんは「(熊井さんと)一緒の制服を着ることができてすごくうれしい」と満足した様子。熊井さんも「一緒に仕事をしている気分で誇らしい」と笑顔を見せた。

 虎士さんの将来の夢は、最近まで宇宙飛行士だったというが「警察官ってかっこいい。いつか本物の制服も着てみたい。熊井さんみたいになりたい」と、いまは警察官を夢みている。虎士さんの受賞作文全文は読売新聞社公式サイトより閲覧できる。

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