埼玉新聞

 

蕨でユズ収穫祭 飲食店や菓子工房で調理、加工へ 街を見つめてきた誕生祝いのユズの木、すくすくと

  • 手が届くところにたくさん実った山下民子さん宅のユズ=蕨市錦町

 蕨市錦町の農家山下民子さん(76)宅で、庭のユズの収穫が行われた。「収穫祭をやろう」と企画したのは市商工生活室と市内の食品雑貨店「あぶらび」店主の田口智章さん(53)。市民の男女20人が参加した。

■いい香り

 山下さん宅では母屋の前に広い野菜畑が広がる。ユズは「一歳柚」または「花柚」という品種で、木は低く、実も小さいのが特徴。2本あるが、いずれも手が届く高さにピンポン玉3個分の大きさの実をたくさんつけた。

 友人に誘われて参加した市内に住む一圓智子さん(25)は「ユズの木は初めて。こんなにたくさん成っているなんて。香りが楽しみ」と感激した様子。同市塚越の日本料理店「くりはら」の店主栗原正寿さん(49)も「今晩、店で使います」と話した。

■誕生祝い

 山下さんは幸手市から1977(昭和52)年に蕨に嫁いできた。ユズ2本は今年42歳の長男と39歳の次男が生まれたお祝いに植えた。ユズの木は息子たちと一緒に大きく育った。

 「嫁に来てすぐに埼京線が通って、外環道ができて、急ににぎやかになった。でも、この錦町は今も静かで、あまり変わっていません」

 畑の南側の水路はかつての見沼代用水。「嫁入りしたころは農業用水として利用されていた。きれいな水で、うちの子どもたちも魚釣りをしていた。いつの間にか水が流れなくなってしまった」と振り返る。今の季節は白菜、ニンジン、カブなど8種類も育てている。

■SDGs精神

 収穫したユズは川口市芝園町でNPOヒールアップハウスが運営する、障害のある人たちの菓子工房「晴れ晴れ」がゼリーとマドレーヌに加工する。所長の石崎美智さん(49)は「おいしいお菓子になります。期待してください」と請け負う。

 「皮も実も全部食べて使い切る。ごみを出さない。これもSDGs精神です」と田口さん。昨年から始まった「晴れ晴れ」とのプロジェクトは、地元の特産品「蕨ブランド」の認定を申請中だ。

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