埼玉新聞

 

不登校の生徒、「オンライン分教室」に参加で“出席扱い”に ICT進む埼玉・久喜市 各校の教諭が授業

  • オンライン分教室で授業に参加する生徒と向き合う教諭(市教委提供、画像を一部加工しています)

 不登校の生徒に学びの機会を確保しようと、久喜市の中学校で本年度、「市共同オンライン分教室」が開かれている。在籍する学校とは別に、一人一人のペースを重視した学習を進めており、市は長期間登校できずに悩んでいる生徒に出席を呼びかけている。

 久喜市では、児童生徒にコンピューターと高速ネットワークを整備するGIGAスクール構想にいち早く取り組み、新型コロナウイルスの感染拡大もあり、情報通信技術(ICT)の整備が進んでいる。

 不登校生徒の支援について、市は4月、各中学校に設けていた相談室や適応指導教室など従来の支援に加え、オンライン分教室を設置した。参加すれば在籍校で出席扱いになるなど、独自の運用ができる点が特徴。県内ではさいたま市が同様の実践を進めている。

 柿沼光夫市教育長は「不登校の生徒の増加に歯止めがかからず、学校復帰を目的とする支援でも対応しきれなくなっている。分教室は適応指導教室にもフリースクールにも通えない生徒のために設けた」と説明する。

■各学校の教諭が授業

 現在、市内に住む中学生7人が自宅などから分教室に参加している。拠点校の市立鷲宮中学校には室長と副室長が配置され、朝と帰りの学活を進め、出欠席を確認する。分教室の授業は市内10中学校の教諭24人が担当し、生徒一人一人のペースを重視する。午前は国語や数学などの学習、午後は探究活動に充てる。保健体育ではストレッチやダンス、美術では生徒がアイデアを出したものを制作するなど、工夫している。

 分教室室長で鷲宮中の青木真一校長は「クラスメートと顔を合わせることが嫌だったり、生徒が学校に行かない理由はさまざま。それでもしっかり学びたいという生徒にオンラインで学習する機会を提供したい」と話す。

■自分のペースで

 市内の不登校生徒は100人超。当初、分教室の利用は広がらなかったが、学校に復帰させたい保護者や教員の思いが少しずつ生徒に伝わり、2学期になると参加の相談が増えている。授業でも生徒たちのコミュニケーションが活発になっているという。

 市内の中学1年の女子生徒は、分教室に参加する以前、学校に登校するだけで疲労がたまっていたという。分教室に通うようになり、毎日授業に参加できるようになった。「自分のペースで進めることができるのでとても楽しい。学校に行きたくても行けない子にお勧めしたい」と感想を寄せた。

 青木校長は「学びが多様化する中、学習する機会の選択肢を増やすことが大切。学習に取り組むハードルを下げ、生徒を傷つけないよう慎重に対応したい」と話している。

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