埼玉新聞

 

雇い止め前提、研究行えず…「科学技術力は衰退する」理研の研究者、地位確認など求める 対象は400人に

  • さいたま地裁=さいたま市浦和区高砂

 国立研究開発法人理化学研究所(理研)の60代男性研究者が不当な雇い止めだとして、労働契約の地位確認と約100万円の損害賠償を求めた訴訟の初公判が30日、さいたま地裁(市川多美子裁判長)であった。原告の男性は意見陳述を行い、「雇い止めを前提とした人員整理などが行われており、現在、研究が行えない状態」と訴えた。

 起訴状などによると、男性は理研で働いてきたが、通算契約期間が10年に達するという理由だけで、2023年3月末日をもって契約更新をしないと通達されたとされる。

 男性は、11年に採用され、1年ごとに契約を更新してきた。採用時は契約更新の上限はなかったが、理研は16年に就業規則を変更。10年間の雇用上限を導入し、13年4月にさかのぼって適用した。

 男性は公判後の会見で「雇い止めを許したら日本の科学技術力は間違いなく衰退する。国家的な問題だ」と指摘した。

 男性は研究チームのリーダーであるため、契約が切られればチームは解散になり、同じチームで研究していた職員も契約が切られるという。今回の雇い止めで契約が切られる職員は計約400人に上る。

 理研は「係争中のためコメントは差し控えさせていただきます」としている。

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