埼玉新聞

 

費用は45万3200円 倒壊の恐れある特定空き家、埼玉・熊谷市が解体 所有者明らかにできず略式代執行

  • 解体される空き家の前で略式代執行を宣言する小林哲也市長=1月28日、熊谷市桜町1丁目

 熊谷市は1月28日、同市桜町1丁目の特定空き家について、倒壊などの可能性が高いとして略式代執行による解体作業を行った。行政代執行は所有者に代わって行政が強制的に措置を行うが、略式代執行は所有者が確知できない場合に行政が措置を行うもの。市によると、市内の空き家解体の略式代執行は今回が初めてで、県内では5例目という。

 この空き家は戦前に建てられたとみられる木造瓦ぶきの平屋建てで、床面積は25・48平方メートル。昨年9月ごろまでは4軒長屋の建築物の一部だったが、4軒中3軒は所有者により解体され、該当物件のみが残された。同10月6日に強風で空き家の建築部材の一部が北側道路に倒れ込み、消防署によって危険回避の処理を実施。市は同11月に倒壊の恐れがある特定空き家に認定したが、所有者は明らかにできなかった。

 小林哲也市長は「空き家の危険な状態を放置することは、近隣の皆さまの生命、身体、財産を脅かす」などと語り、略式代執行を宣言。工事期間は2月28日までの予定で、略式代執行にかかる費用45万3200円は強制徴収ができないため、今後所有者などが判明した場合には民事徴収によって費用回収を行う。

 市によると、市内の空き家は2017年度に実施した実態調査結果によると2389戸。そのうち、特定空き家は16戸で、改善済みが13戸(自己改善10戸、代執行3戸)。残り3戸のうち、1戸は財産管理人に指導中。財産管理人選任の手続き準備中のものが1戸で、残り1戸が今回の略式代執行の対象物件という。

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