埼玉新聞

 

つらい…白血病4度再発も前向く男児、サンタになって入院する子たちにプレゼント 男児支えた親友と一緒に

  • クリスマスプレゼントを医師らに渡す清水優希君(左端)と小沢オリバー君(左から3人目)=11日午前、日高市山根の埼玉医科大学国際医療センター

  • プレゼントにメッセージカードを添えた清水優希君(右)と小沢オリバー君。普段はなかなか会えないが、漫才師のような掛け合いは健在だった=11日午前、日高市山根の埼玉医科大学国際医療センター

 今年もサンタクロースからひと足早いプレゼント―。11日、埼玉医科大学国際医療センター(日高市)で、かつて小児がんで同センターに入院していた、ともに小学6年の清水優希君(12)=さいたま市見沼区=と小沢オリバー君(12)=神奈川県茅ケ崎市=が入院中の子どもたちを勇気づけようとプレゼントを届けた。清水君は今年9月に白血病が4度目の再発となり現在闘病中。親友・小沢君の存在を励みに「今度こそ病気を治し、学校に行ったり友達と遊べる人間になってやる」と強い気持ちで病に立ち向かっている。

 この取り組みは、小児がんやその家族らで結成する団体「みんなのレモネードの会」による「みんレモサンタ」の一環。入院していた病院やお世話になった施設に自らプレゼントを届けようと、2017年から始まり、今年は同センターの他に埼玉県立小児医療センター(さいたま市)や東京、神奈川など22カ所(郵送も含む)に届ける予定だ。

 2人そろって“サンタ”になるのは昨年に続き2度目。事前に要望を聞いて、ハリーポッターやスター・ウォーズシリーズのDVDの他にクリスマス柄のカチューシャや工作セット、手作りのメッセージカードも添えた。「病院にいるマイナスな気持ちをいったん忘れて」と清水君。小沢君も「サンタさんほど大きなプレゼントではないけど、楽しんでね」と思いも届けた。

 小沢君は17年8月に脳腫瘍の手術を北海道で受け、その後、同センターに追加治療で入院。現在は半年に1度、磁気共鳴画像診断(MRI)を受診しているが今は体調は安定していて、地元の陸上クラブで中距離選手として活動中だ。

 一方、同年7月に急性骨髄性白血病と診断された清水君は、これまでにドナーによる臍帯血(さいたいけつ)移植や父竜二さん(52)からの骨髄移植を受けたが9月に4度目の再発となった。告知された時、母恵里さん(48)は「がくっとなった。白血病はどれだけしぶといのだろうと」。清水君も「またつらい治療が始まるの」と、思わず主治医に当たってしまったという。

 現在は1カ月に3日間ほど入院。竜二さんの血液を注入し、悪い細胞を抑え込む「ドナーリンパ球輸注療法」を行う。免疫力などの問題で小学校には通えず、一部教科の授業をオンラインで受けていて「友達に会いたい。一緒に遊びたい」と本音が漏れる。

 そんな状況にも、「病気になってみて悪いことばかりではなかった。日常の大切さを学べた」と前向きに闘病生活を送っている清水君。大きな心の支えが小沢君の存在だ。

 17年の入院中に約4カ月、同じ病室で過ごし大の仲良しに。院内学級にも2人で通った。「つらい治療をしているのは自分だけではないと実感できたし、オリバーがいなかったら精神的にきつかったと思う。今でもお互いが自分しか知らないゲームを勧め合ったり大切な存在。親友ですね」と笑顔を見せる清水君。小沢君も小学校の卒業文集に、病気のつらさや大変さとともに「優希君との楽しい時間が多かった、入院生活のことを書きたい」と力を込めた。

 清水君はこれまで移植前に全身に放射線を浴びたことで数々の副作用が出るという。「もう少し体に負担のかからない治療ができれば」と恵里さん。後遺症に関しても、症状によって詳しい医師を自ら探さなければならないとし、「フォロー体制を整えてほしい」と訴える。小沢君にも後遺症は残り、母貴子さん(46)の心配は尽きない。「どこの地域で病気になってもエキスパートに同じ治療を受けられるように」と切に願う。

ツイート シェア シェア