埼玉新聞

 

全国最大規模「汚泥消化・バイオガス発電システム」、三郷で稼働開始 汚泥が処理され、電気に生まれ変わる

  • 稼働が始まった汚泥消化・バイオガス発電システム。手前左がガスタンク、中央と右が汚泥消化タンクでいずれも高さ25メートルを超える巨大な施設。手前の緑色の装置などが発電機=三郷市番匠免の中川水循環センター

 県が三郷市の中川水循環センター内で整備を進めていた「汚泥消化・バイオガス発電システム」が、今月1日から稼働を開始した。下水の汚泥を微生物で分解して減量し、発生するバイオガスを汚泥の焼却に利用。バイオガスは民間の共同企業体が運営する発電機の運転にも活用され、生み出された電気は電力事業者に売却される仕組みで、流域下水道に設置した施設としては全国最大規模という。稼働に伴い汚泥焼却量の減少が見込まれることから、温室効果ガス削減や汚泥の有効活用にも期待が寄せられている。

 施設は中川水循環センター内で2018年4月に着工。汚泥消化タンク(高さ26・3メートル×内径23メートル、9千立方メートル)4基とガスタンク(同25・5メートル×同19メートル、5千立方メートル)2基、汚泥消化棟(3階建て)、さらにガス発電機4基で構成される。昨年11月に完成し、稼働に向けた準備が進められてきた。

 同センターでは家庭や工場などの下水を浄化処理し、河川などへ放流している。

 整備されたシステムは、下水の中の汚れが集まった汚泥を消化タンクに投入し、微生物で分解させて約半分にまで減量。その際に発生するメタンを主成分とするバイオガスを、汚泥の焼却や発電機の運転に活用する仕組みだ。

 システムの整備により、汚泥焼却量減少による温室効果ガスは年間1万2400トンの削減と試算。共同企業体へのバイオガス売却益は年間約3億円を見込んでいる。

 中川水循環センターは県東部の春日部、草加、越谷、三郷各市など11市4町の下水処理を行っている。県内では荒川(戸田市)、新河岸川(和光市)の両水循環センターに続く3番目の規模。

 システムは現在のところ、採算を見込めるようなビジネスベースには至っていないという。また、施設の設置に広大な敷地を必要とすることや、燃焼技術が飛躍的に向上していることなど、システムを確立し他に展開などするには課題も残されている。

 県は同システム稼働の効果を検証し、新技術の活用も視野に入れながら、汚泥を「下水道資源」として、より効率的でクリーンな活用を目指すとしている。

 県下水道局下水道事業課の大嶋公久主幹は「県民の生活を支える施設として、将来のエネルギーや環境を考え、快適な生活が送れるよう取り組みを進める」と話している。

■見学会も実施

 県は今月28日午前10時からと午後2時からの2回、施設の一般見学会を実施する。参加は県ホームページ「電子申請システム」から。

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