「魂の殺人」と指摘…教職員の性暴力防止へガイドラインを策定 埼玉・朝霞市教育委員会 きっかけは市内の中学校に勤務する教諭がわいせつ行為で逮捕された事件
教員グループによる女児盗撮画像共有事件など児童生徒に対する盗撮やわいせつ行為などで摘発される教員が後を絶たない中、朝霞市教委は教職員の児童や生徒に対する性暴力への対応と未然防止、早期発見のためのガイドライン「朝霞市教職員等による性暴力等の防止等に関する基本的な指針」を策定し、4月から運用している。性暴力事件が発生した際の学校や教委が取り組む防止策と対応策を細部にわたり定め、運用が徹底されれば、大きな効果が期待できそうだ。性暴力の防止に特化した指針を定めた自治体は県内で初めてという。
■「魂の殺人」と指摘
策定した指針はA4判33ページ。児童生徒との性交やわいせつ行為、児童買春、盗撮など性暴力の定義をはじめ防止に関する基本理念、性暴力が発生した時の「学校」と「教育委員会」の対応を図解で記した上、学校と教委の未然防止策や被害相談を受けた際の対応などを定めている。
基本理念では、教職員の性暴力について「児童生徒の尊厳と人権を踏みにじり、その心を深く傷つける『魂の殺人』」と位置付け「教育に携わる者が性暴力等を行うことは断じて容認できず、いかなる理由があってもあってはならない、決して許されない行為である」と指摘している。
その上で、「学校の対応」は、未然防止と早期発見のために教職員への研修や学校施設の定期的な点検、児童へのアンケートなどの実施を求めた。児童から相談を受けた際は、被害者の人権を留意した聞き取りや保護者への速やかな報告、被害者や周囲の生徒らのケアを定めている。
「教委の対応」では、未然防止のため、教職員と生徒らに対する性加害の重大性と防止策の教育、生徒や保護者が安心して相談できる第三者機関の設置などを求めた。学校から被害報告を受けた際は情報収集による正確な状況把握とスクールカウンセラーの派遣などの支援を定めている。
■教諭逮捕きっかけ
指針策定のきっかけは、県内の公立中学校の男性教諭が2019年、学校の関連事業で宿泊した県外の施設で、男子生徒にわいせつな行為をした事件だった。市内の中学校に勤務していた男性教諭が23年に逮捕されたことを受け、市教委は翌24年「再発防止策の検討報告書」を策定した。
市議会は同年9月、教職員の生徒に対する性暴力の再発防止を求める付帯決議を採択。これを受けて、市は25年1月、大学教授や弁護士ら外部の識者らによる基本的な指針検討会議(会長・高橋直美東洋大教授)を設置。基本的な指針がまとめられ、市教委が今年3月、議決した。
市教委の二見隆久教育長は「事件を受けて、子どもたちの心のケアや全教職員の研修など再発防止に取り組んできた。今後も市内小中学校に通う全ての子どもが安心して通える学校をつくるため、全力を挙げて取り組んでいきたい」と決意を新たにしている。









