埼玉高速鉄道の延伸…事業実施を要請 さいたま市と埼玉県 埼玉高速鉄道と鉄道運輸機構に 浦和美園駅から岩槻駅へ 開業目標は41年4月 計画供給輸送力は1日当たり10万700人、運行頻度は朝夕混雑時間帯で1時間当たり8本、うち2本は快速と設定
地下鉄7号線(埼玉高速鉄道=SR)の延伸について、さいたま市の清水勇人市長と大野元裕知事が3月31日、東京都港区の「鉄道建設・運輸施設整備支援機構 鉄道技術センター」を訪れ、市と県の連名でSRと鉄道建設・運輸施設整備支援機構に事業実施要請を行った。清水市長は要請後の取材に「4者が前向きに進んでいけると実感した。一つずつステップを乗り越えながら実現に向けて歩む」と力を込めた。
都市鉄道等利便増進法に基づく速達性向上事業の実施要請は全国初の事例で、大野知事が同機構の藤田耕三理事長に、清水市長がSRの平野邦彦社長にそれぞれ要請書を手渡し、荒木裕介県議会議長、小島信昭県議会地下鉄7号線延伸・沿線地域整備促進議員連盟会長、伊藤仕さいたま市議会議長が同席した。
今後は鉄道事業者が営業構想・整備構想を作成し、国に申請。認定されれば、速達性向上計画を国に申請する。計画素案では来年4月に整備を開始し、2029年度中の都市計画決定を経て30年度以降の工事開始を見込む。開業目標は41年4月、計画供給輸送力は1日当たり10万700人、運行頻度は朝夕混雑時間帯で1時間当たり8本(うち2本、快速列車)と設定している。
要請後の意見交換は非公開で行われ、大野知事は取材に対し、「4者共通で意義深いという点について発言があった。SRからはまちづくりが重要だと指摘があり、県もバックアップするとお話しさせていただいた」と話し、清水市長も「環境アセスメント、中間駅周辺のまちづくり推進などに全力を尽くす」と関係者間の連携を強調した。
SR延伸計画は、終着駅の浦和美園駅(同市緑区)から約7・2キロ延伸して東武アーバンパークライン岩槻駅付近(同市岩槻区)までつなぎ、埼玉スタジアム駅、中間駅、岩槻駅(いずれも仮称)を整備する。概算事業費は25年度の試算で1440億円。国、県と市、鉄道施設整備主体がそれぞれ3分の1ずつを負担する仕組みで、地方公共団体分の65%をさいたま市、35%を県が負担する。
■紆余曲折を経て節目へ
さいたま市の政策課題の一つとして、20年以上にわたる懸案とされてきた地下鉄7号線の岩槻延伸。紆余(うよ)曲折を経て、ようやく大きな節目の日を迎えた。
国の運輸政策審議会が「浦和美園―岩槻―蓮田までの区間が2015年までに開業することが適当」と答申し、延伸の機運が高まったのが、さいたま市合併前の00年1月。09年5月、清水勇人市長が延伸実現を公約に掲げ、初当選を果たした。しかし12年度内の事業着手を目標としていたが、需要予測が最低ラインに届かず計画を5年延期した。
18年3月には市の協議会が都市鉄道等利便促進法の適用の目安に届く試算を公表。清水市長は、4期目の当選を決めた直後の21年6月の市議会6月定例会で、「23年度中に鉄道事業者に対する要請を行う」と初めて明言した。だが24年1月、物価高騰で概算建設費が18年試算の1・5倍、1300億円に膨れ上がったことが大きな原因で23年度内の事業要請を断念し、地元岩槻の住民らを落胆させた。
再び事態が動いたのが昨年2月。市などが再検討した結果、事業費は1390億円に上昇する一方、18年から14年への工期短縮、沿線地域で鉄道利用率の高い若年層の人口推計の上振れなどから同法を活用して国の補助を受けられる目安の一つ、コストと利益を比較した「費用便益比」が1~1・2になる試算が示された。鍵を握る中間駅周辺のまちづくり整備では広さ45~65ヘクタール、定住人口4千人程度としていたのを最大120ヘクタール、1万人程度と見積もった。
同年4月には、清水市長と大野元裕知事が連名で、25年度中に鉄道事業者への事業実施要請を目指す方針を明らかにした。清水市長は今年2月の施政方針で、25年度の試算で費用便益比が「1・2」、収支採算性は27年となり、同法適用のもう一つの目安「開業から30年以内の黒字転換」もクリアするめどが立ったと表明していた。









