<衆院選>争点の一つ「物価高対策」 消費税減税の大合唱 財源確保に半信半疑
衆院選の争点の一つに挙げられる「物価高対策」。チームみらいを除き、自民党、中道改革連合など主要政党が消費税の減税もしくは廃止を掲げている。超短期決戦となる今回の選挙で、政策の違いを有権者にどこまで理解されるかがポイント。専門家は「財源をどう確保するのか」と指摘し、現役世代からは実現に半信半疑の声も聞こえてくる。
■生活はいつ楽に
さいたま市内の青果店では「タマネギ1袋(3個)198円」の張り紙。産地の北海道は夏場の高温と少雨で生育不足が続き、平年よりも8割ほどの高値が続いている。1人暮らしの70代男性は「もう仕事を引退しているから食べることが唯一の楽しみ。これだけいろんな物が高けりゃ、年金暮らしにはきつい」と嘆く。一円でも安い店を探し回り、暖房器具は極力使わず、ひたすら節約の日々だという。
昨年の全国消費者物価指数(2020年=100)は前年比3・2%増の「111・9」。穀類や菓子、生鮮野菜や電気代の高騰が主な要因となった。帝国データバンクによると、主要食品メーカー195社の直近(2月)の値上げは計674品目。値上げ率は平均16%と高めだ。
40代夫婦は「(消費税の)減税分は何で賄うのか。将来の子どもたちに負担が行くのも困る」と不安を口にする。別の50代夫婦は「私たちはこの30年間、何も恩恵を受けていない。消費減税も選挙目当ての“ヤルヤル詐欺”ではないのか。給料が上がらず、この数十年間がむなしい」と半ば諦めムードだ。
ひとり親家庭などを支援するNPO法人も物価高のあおりをもろに受ける。埼玉フードパントリーネットワーク(越谷市)の草場澄江理事長は「原材料や人件費の高騰で企業が在庫を抱えなくなり、寄付に回す余裕がなくなっているのでは」と不安を漏らす。寄付品は一昨年比で2割ほど減少。「お米が欲しい」「おなかいっぱい食べたい」といった切実な声が増えたという。草場さんは「(消費減税は)正直助かるが、その場しのぎではない政策議論を尽くしてもらいたい」と要望した。
■「外食」は死活問題
外食産業にとっては、減税対象が「食品のみ」なのか「一律」なのかによって死活問題になりかねない。昨年、全国の飲食店倒産は過去最多の900件。コロナ禍以降、客を呼び戻すために価格努力を続けてきても、「減税で円安に拍車がかかれば、経営は一層厳しくなる」と中華料理チェーン「ハイデイ日高」(さいたま市大宮区)の青野敬成社長は危機感を募らせる。
現在8%の軽減税率が適用される食料品のみが「ゼロ」となれば、総菜などの「中食」を取り扱うスーパーや弁当店との価格競争で水をあけられ、企業努力だけではどうにもならない。外食産業への支援策も同時に求めた。
東洋大学の大野裕之教授(財政学)は、この時期の解散・総選挙は「党利党略が透けて見える」と懐疑的だが、「消費減税の効果は限定的でも家計の一時的な負担軽減につながる」とみる。だが、減税によって中長期的には(税収分を充てている)年金や医療・介護などの社会保障制度も見直さざるを得ず、「財源をどこでどう確保するのか、世の中の雰囲気に流されず政策本位で選んでほしい」と冷静な投票行動を呼びかけた。
川越市の尚美学園大学1年高桑ひなたさん(18)は、今年選挙権を得たばかりだという。政治に関する情報は専ら交流サイト(SNS)から得ている。周囲には金銭的な理由で大学進学を諦めた友人もおり、「身近な物価高対策が一番気になる。教育支援など若者向けの政策もチェックして1票を投じたい」と話していた。










