埼玉新聞

 

「着せ恋」のモデル さいたまの人形店でワークショップ アニメのファンら15人がひな人形の頭づくりに挑戦 「五条君になりきって、意外とうまくできた」

  • 参加者にアドバイスをする頭師の鈴木慶章さん(右)=さいたま市岩槻区の鈴木人形

    参加者にアドバイスをする頭師の鈴木慶章さん(右)=さいたま市岩槻区の鈴木人形

  • 参加者にアドバイスをする頭師の鈴木慶章さん(右)=さいたま市岩槻区の鈴木人形

 岩槻が舞台のアニメ「その着せ替え人形(ビスク・ドール)は恋をする」原作のモデルとなった、さいたま市岩槻区の「鈴木人形」で3代目・鈴木慶章さん(45)によるワークショップが開催された。アニメのファンら15人がひな人形の頭作り(面相書き)に挑戦した。

 「眉は『細く、薄く』を心がけて―」。鈴木さんのアドバイスに従いながら、参加者は真剣な表情で筆を動かす。筆は人形の顔を描くために特注されたもの。わずか0・1ミリの筆先を駆使して細い線を描き重ねるのがポイントだという。眉を描いた後、位星(くらいぼし)と頬紅を入れて顔が完成した。

 「着せ恋(きせこい)」の愛称で親しまれている同作は、頭師を目指す男子高校生・五条新菜(わかな)が主人公のアニメで人気を呼んでいる。

 横浜市の看護師、村田紗絵さん(23)は「五条君になりきって面相書きし、意外とうまくできた。原作に近づけた気がして、うれしい」と喜んだ。れおんのニックネームでファンイベントに参加する千葉県の男性(39)は「原作やアニメを繰り返し目にしているが、こんなに難しいとは」と驚き、職人の技術をたたえた。

 鈴木人形は2023、24年にさいたま市と共同で同様のワークショップを開催したが、その後も多くのファンから「また実施してほしい」との要望が寄せられていたという。鈴木さんは「職人が高齢化する中で、アニメをきっかけに門をたたいてくれる若い人がいる。今後もこうした活動を続けていきたい」と意欲を見せた。

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