クマ目撃…埼玉で注意呼びかけ 宿泊施設、怖くてキャンセルも 地元民が感じた異変「最近は人の後をつけてくるクマが目立つ」
秋山を楽しむ登山者らに安全意識の向上を図ろうと、埼玉県や県警などは1日、秩父地域の武甲山、両神山と、飯能市の棒ノ嶺の登山口周辺計3カ所で、山岳遭難防止キャンペーンを実施した。万全な登山計画や装備、登山届提出の徹底を呼びかけたほか、ホイッスルや鈴などのクマよけグッズを配布し、全国的に多発しているクマの人身被害の防止に向けた注意喚起を行った。
日本百名山の一つ両神山(標高1723メートル)の日向大谷口(小鹿野町両神薄)で午前7時半から実施したキャンペーンには、県警地域総務課と小鹿野署員、県秩父環境管理事務所職員が参加。入山前の登山客に対してクマ鈴や発光ダイオード(LED)付きホイッスルなどの啓発品約60セットを配布し、「昨日も秩父市内でクマの目撃情報が寄せられました。被害に遭わないための万全な対策を心がけてください」などと呼びかけた。
啓発品を受け取った松崎一俊さん(43)は、長野県から初めて両神山登山に訪れた。「8月に鹿島槍ケ岳(長野県)を登山中にクマを目撃したので、それ以降は整備されていない険しい山道を避けて登るようにしている」と話していた。
日向大谷口の入り口に構える1976(昭和51)年創業の民宿「両神山荘」には毎年、全国各地の登山者が宿泊に訪れる。同宿によると、今年も関西方面を中心に多くの宿泊予約が入り、両神山の登山客数は昨年よりも増加傾向にあるが、全国的に相次ぐクマ被害を受けて、「クマが怖いのでキャンセルしたい」という連絡も10月中に数件入っている。
小鹿野町内では、昨年8月に両神小森の70代女性が自宅敷地内でクマに襲われ、顔などを引っかかれる事故が発生した。16年5月には両神山の登山者が子グマと遭遇して軽傷を負っている。
同宿経営者の山中龍太郎さん(90)は「20年ほど前までは、クマが人に襲いかかってくることはなかったが、最近は人の後をつけてくるクマが目立っている。山を登る際は、食べ物やごみくずを捨てないように注意してほしい」と語った。










