旧市民会館の敷地を取得へ 埼玉・川越 商議所との共有を解消 訴訟で和解が成立し市が4割、商議所が6割を持ち分として共有していた 2015年に閉館した市民会館 今後の活用策は「未定」も解体など検討へ
川越市は、川越商工会議所と共有していた同市郭町1丁目の旧市民会館の一部敷地約3千平方メートルを取得する方針を決めた。市と同商議所は敷地の所有権を巡り争った訴訟で、2014年に和解が成立し双方の持ち分としてきた。市は「川越商議所との協議を重ねて取得の方向性が固まった。将来に向けて利活用を図りたい」としている。
市によると旧市民会館敷地の取得に当たって、同市仲町の市有地約660平方メートルを同商議所に売却し、財源の一部に充てる。また老朽化した旧市民会館の解体のほか、南側に隣接する市の施設「やまぶき会館」を単独の建造物とするための改修に向け、庁内で検討を進めるという。
市は本年度補正予算案として、取得経費約4億7千万円や土地売却の収入約2億3千万円を、開会中の市議会6月定例会に提案した。
旧市民会館の敷地は、現在の川越商工会議所とは別の団体の旧川越商工会議所が所有していた。旧商議所は1943年、県商工経済会川越支部に変更され、47年に新たな川越商工会議所の設立が登記された。
市民会館は64年に建設。土地は旧商議所から継承され、登記簿の名義も旧商議所の状態だった。このため現商議所は2011年、旧商議所などを相手取り、所有権の名義変更を求める訴訟をさいたま地裁川越支部に起こした。
一方、市は敷地について「戦前に旧商議所から寄付されていた」などと主張し、12年から訴訟に参加した。14年の和解成立で市は道路部分を単独所有。残りの部分の約4割は市の、6割は商議所の、それぞれ持ち分として共有することになった。
旧市民会館は地下1階、地上3階で、延べ床面積4483平方メートル。老朽化や耐震性の問題から15年3月に閉館した。やまぶき会館は約500席のホールや会議室を備えた施設で、旧市民会館とは通路でつながっている。
敷地の今後の活用策について、市の担当者は「未定」とした上で「旧市民会館の解体などの課題に向けて取り組みたい」と話している。










