さいたま市長選、現職の清水氏が5選 4期16年の実績が強み、新人4氏を破る 自民、立民など国会議員ら支援 超党派で事実上の相乗り 当選5回は現職の政令市長でトップ
任期満了に伴う埼玉県のさいたま市長選は25日投開票され、無所属現職の清水勇人氏(63)が、共産の元市議加川義光氏(75)、無所属で元衆院議員の沢田良氏(45)、無所属のミュージシャン小袋成彬氏(34)、諸派で住宅リフォーム会社経営の西内聡雄氏(51)の新人4人を破り5選を果たした。4期16年の実績を強みに幅広い支持を集めた。当選5回は現職の政令市長でトップ。投票率は35・76%で、過去最低だった前回2021年(28・70%)を7・06ポイント上回った。
清水氏は特定政党の推薦などを受けない「市民党」を掲げたが、公明党県本部の支持や、自民、立民などの国会議員や市議らの支援を得た。超党派で事実上の相乗りとなり、満遍なく支持を広げた。告示日の第一声には大野元裕知事が駆け付け、応援演説に立った。
選挙戦では16年間の成果を強調した上で「希望(ゆめ)のまちへ もっとシンカ」をテーマに展開。2035年に待ち受ける人口減少へ「高齢化や少子化対策など大きな課題をいかに乗り越えるか。この10年が大事だ」と訴えた。
加川氏は大規模事業を進める現市政批判と米購入券支給や学校給食費無償化など物価高騰対策を訴えたが、支持を広げられなかった。一部の市議の支援を受けた沢田氏は多選を批判。市民税72億円の減税と100億円規模の物価高対策などを掲げ、交流サイト(SNS)も駆使したが、政策を浸透しきれなかった。
小袋氏は「さいたま市のリニューアル」をうたい、公共空間の規制緩和を打ち出し、たすきをかけないなど独自の形を貫いたが知名度を上げられなかった。西内氏は外国人生活保護の即時廃止や減税、農業支援を訴えたが、支持の広がりを欠いた。
当日有権者数は、109万8408人(男53万9485人、女55万8923人)。投票者数は39万2841人(男19万2702人、女20万139人)で、投票率は35・76%(男35・72%、女35・81%)だった。
■実績で多選批判かわす
さいたま市長選は25日、投開票が行われ、現職の清水勇人氏(63)が、加川義光氏(75)、沢田良氏(45)、小袋成彬氏(34)、西内聡雄氏(51)の新人4人を退けて5選を果たした。清水氏は4期16年の実績を挙げ、人口減少に転じるとされる2035年までを「シンカの10年。大切な10年になる」と強調。多くの市議らのバックアップも受け、多選批判をかわして有権者の幅広い支持を集めた。昨年、人口135万人を突破した県都の未来は再び、清水氏に託された。
投票締め切りと同時刻の午後8時、テレビの画面に当選確実の報が表示されると、報告会場となった見沼区の幼稚園内は「おー」という歓喜の声と同時に、5期目へ期待する大きな拍手が鳴り響いた。
大歓声の中、会場に姿を見せた清水氏は支持者らと万歳で喜びを分かち合った。新型コロナ禍だった4年前は社会情勢を考慮して“儀式”は行わなかっただけに、8年ぶりの万歳に満面の笑み。「早い段階での当選確実の報にうれしい気持ちでいっぱい」とあいさつし、「これまでの成果と経験を生かし、新たな気持ちでさまざまなことにチャレンジしていく」と力を込めた。
今回も特定の政党色を出さない「市民党」で臨んだ。ただ公明県本部の支持のほか、市議会では複数会派と政策協定を結び、自民系や立憲民主系ら多数の市議が支援に回った。告示日や選挙戦最終日の街頭演説には自民、立民、公明、国民民主の国会議員や県議、市議らが大勢駆け付けた。事実上、各党相乗りの応援も背に、4期16年の実績と知名度を生かして選挙戦を展開。危なげなく支持を広げた。多選についても「ご理解いただけたと思っている」と述べた。
清水氏が選挙戦を通じ、16年間の成果とともに力を入れて演説したのが次の10年に向けた取り組みの重要性だ。人口減少、少子化、高齢化への対応、災害対策などを挙げ、「一丸となって課題に取り組み、シンカの10年にしたい。激励、要望など市民一人一人の声を大切に、市政運営をしたい」と決意を新たにした。
■清水勇人氏
【略歴】(1)市長(2)指定都市市長会副会長、市社会福祉協議会会長、共栄大学客員教授(3)日本大学法学部(4)埼玉県(5)見沼区堀崎町
【公約】(1)安全で強靭な都市(2)誇りあふれる都市(3)誰一人取り残さないしあわせ実感都市(3)絆で支えあう都市
略歴は(1)職業または肩書(2)主な経歴(3)最終学歴(4)出身地(5)現住所―の順。埼玉新聞調べ










