埼玉新聞

 

100円朝食 就職の縁に 埼玉大学の朝活プロジェクト 協賛企業が食事中にアピール 人材確保へ、内定事例も

  • 「100円朝食・朝活プロジェクト」で学生向けに行われた企業説明=8日、埼玉大学

    「100円朝食・朝活プロジェクト」で学生向けに行われた企業説明=8日、埼玉大学

  • 提供された100円朝食

    提供された100円朝食

  • 「100円朝食・朝活プロジェクト」で学生向けに行われた企業説明=8日、埼玉大学
  • 提供された100円朝食

 埼玉大学(さいたま市桜区)が昨年度から実施している「100円朝食・朝活プロジェクト」は、今月から2025年度後期日程がスタートした。優秀な人材を確保したい協賛企業が食事中の学生に企業説明などを行い、学生の就職内定につながった事例も生まれている。

 100円朝食は31日まで大学内の生協第2食堂で、平日朝8時から先着100食を目安に提供される。学生証を提示することで、500円相当の朝食(主菜、副菜、ご飯、みそ汁)を100円で食べられる。学生が希望すれば、食事の後に協賛企業の担当者と個別相談もできる。

 学生・企業・大学ともにメリットがある合理的な取り組みで、企業によるキャリア教育参画は全国でも例がないという。キャリアセンター長の石阪督規教授は「大学も地域のニーズに応えることができて三方よし。いろいろ考えたが、このモデルが一番いい。10%台にとどまる就職先の県内比率で、30%台を目指したい」と地域の活性化につながることを期待している。

 協賛を希望する企業は企業間取引(BtoB)を主軸とする企業が多く、一般消費者向けの企業と比べて低い傾向にある知名度アップが大きな狙い。学生の視点からも、知られざる優良企業を選択肢に加えることができ、自己分析や業界研究のきっかけにもなるという。

 計140食が提供された8日は、自治体向けのシステムを開発するジーシーシー(前橋市)がスライドを使って自社のアピールポイントや採用活動のスケジュールを説明。担当者は「公務員やIT企業を目指す学生が多いと聞いている。エリア的なマッチ度も高く、大学と企業の風土も合っている」と参画の意図を説明する。

 岡山県出身の教養学部1年中村朱里さん(18)は「地域に根付いた会社を見つけられる。分からない用語はメモしている」と熱心に耳を傾け、長野県出身の教養学部1年古川菜彩さん(19)は「いいことしかない。就活に必要な観点を1、2年生のうちから固められる」とうなずいた。

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