2021年5月2日(日)

東武・大宮公園駅前のヒマラヤスギ残る 伐採危機迎えたシンボル、保全求め住民ら要望 開発計画白紙に

大きな2本のヒマラヤスギがシンボルとなっている東武鉄道大宮公園駅。大宮公園や大宮盆栽村の玄関口となっている

 さいたま市大宮区の東武アーバンパークライン大宮公園駅前にそびえる2本のヒマラヤスギ。同駅開業の1929年当時に植えられたシンボルツリーだ。4年前の2017年に、このうちの1本が伐採の危機を迎えた。東武鉄道が高齢者向け賃貸住宅を建設する開発計画を発表したからだ。しかし保全を求める周辺住民の要望で計画は白紙に。大木は残った。住民でつくる「大宮公園駅周辺地域景観まちづくり協議会」はその後も定期的に会合を開き、結束して「緑豊かな景観の良い駅前づくり」を提案し続けている。

 「気付いたら、看板がなくなっていた。木が残って良かった。でもフェンスが何年もこのままの状態では…」と話すのは通勤で駅を利用している盆栽町在住の女性(52)。さいたま市北部都市・公園管理事務所によると、開発許可申請が取り下げられたのは昨年2月。現在、建設予定だった土地は一部駐輪場として利用されている以外は、フェンスで囲まれた状態のまま残されている。取り下げについて、東武鉄道から住民への説明はなかったという。

■駅前の象徴

 ヒマラヤスギはヒマラヤ北西部の高地に自生する常緑高木で、スギではなくマツの仲間。公園や学校の校庭などによく植えられている。同駅の2本のヒマラヤスギは植えられてから90年以上経過しており、高さ約20メートル。駅前の東西に並んで立つ。ヒマラヤスギは緑豊かな景観の象徴となっている。

 駅周辺の自治会は寿能と盆栽の2町6自治会。6自治会は建設計画のあった17年12月、約4400人の署名を集め、東武鉄道に伐採見直しなどの要望書を提出したが、当時は「施設建設は計画通り行う」との回答だった。

 そのため、6自治会は18年9月、まちづくり協議会を発足させ、住民が主体的となって地域の歴史と景観を生かしたまちづくりに向けて研究を重ねてきた。東武鉄道や市にも連携を求めてきたが、同社や市からの反応はほとんどないまま、突然、開発計画が取り消されたという。

 東武鉄道は、今後の計画について、埼玉新聞の取材に「駅前開発については多方面で検討中。今の段階でお話しできる内容はない」と話す。

■未来像提案も

 協議会の中津原会長は「ヒマラヤスギの保全活動を通して、子どもから大人まで、緑の保全とまちづくりに対する意識が高まった」と話す。

 協議会は今年2月「みんなで考えよう『未来の大宮公園駅周辺』」と題したアイデアコンテストを実施し、地元の子どもたちが描いた同駅の未来像などを4月に展示した。2本のヒマラヤスギを生かしたテーマパーク構想など斬新な作品が並んだ。

 同駅は県内を代表する大宮公園や外国人も多数訪れる大宮盆栽村の玄関口となる。中津原会長は「当面、ヒマラヤスギは守られたが、駅前がこのままで良いというわけではない。多くの住民が望んでいるのは緑の確保とにぎわいの創出。より魅力的な大宮公園駅周辺になるよう、これからも将来のまちづくりを提案していきたい」と話している。

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