2021年4月13日(火)

江戸川乱歩展が好調 埼玉・桶川のさいたま文学館、人気ゲームとのタイアップ企画 作品再現の目玉企画は

「力士」の樽をかつぐ江戸川乱歩と仲間たち(釜屋蔵)
「来年の冬には人間椅子の体験をしてもらえます」と影山さん

 桶川市のさいたま文学館で開催中の企画展「江戸川乱歩と猟奇耽異」の入場者が、開始2週間で千人を超えた。人気の配信ゲーム「文豪とアルケミスト」とタイアップした企画展第2弾で、来館者の8割は10〜40代の女性だという。

 明智小五郎や怪人二十面相が登場する探偵小説の作者で、日本の推理小説の礎を築いた江戸川乱歩の没後55年を記念した同展。乱歩の草稿や谷崎潤一郎が贈ったという自筆の二双一組の書軸、書簡など初出の貴重な資料が並んでいるほか、さまざまな資料によって乱歩の人間性に焦点が当てられているのが特徴。

 タイトルの「猟奇耽異」とは小説家佐藤春夫が英語の「Curiosity Hunting(キュリオシティ・ハンティング)」を訳した言葉で「奇を猟(か)り、異に耽(ふけ)る」こと。悪や奇妙なこと、怪しいことにひかれる人間の心理を表している。乱歩はこの言葉が気に入り、頻繁に使っていたという。

 乱歩は、自ら作品を生み出す以外に萩原朔太郎、芥川龍之介らいわゆる一般文壇の小説家に、ミステリーを書くよう依頼するなど編集者としての側面も持っていた。日本の推理小説を発展させようと尽力したことが作品や写真、書簡などでうかがえる。

 佐藤春夫が「樽(たる)の中に住みたい」と話した雑誌の談話のエピソードを裏付ける1枚の写真は、加須市の酒蔵釜屋からの初出。乱歩が「力士」の樽を担いでる姿が映し出されている。

 また、還暦祝いに「赤いちゃんちゃんこは嫌」と言ったため探偵作家クラブ(日本推理作家協会の前身)の仲間が贈ったという「緋色のジャンパー」、収集癖と整理癖のあった乱歩が自身の作品、掲載された新聞記事などをまとめた「自著箱」など興味深い展示品もあり、人間「江戸川乱歩」が見られる。

 学芸員の影山亮さんは「エゴサーチ(自分検索)が好きだった乱歩の人間性が分かって、現代人にも通じる。若い人たちも自分たちと同じようなんだと親近感を持って見てもらえそう」と話す。

 乱歩作品で椅子の中に忍び込んだ男の話「人間椅子」に登場する椅子を再現した目玉企画「人間椅子体験会」は、今回新型コロナウイルス感染拡大防止のために中止され、観覧のみとなったが、来年冬に実施する予定。

 開館時間は午前10時から午後5時半。月曜休館(祝日の場合は翌日)。観覧料は一般210円、高校生、学生100円、中学生以下および障害者と介助者は無料。

 問い合わせは、同館(電話048・789・1515)へ。

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